楽器⇆演奏スタイル


自分の演奏スタイルがどうして出来上がったのか、よくわかりません。
特定のプレイヤーの影響は少ないし、こういう時にこういう音、という風に頭で組み立てることもないし。
でもひとつ分かりました。
楽器が僕の演奏スタイルを形づくっているんです。

火曜のWashboard Wizardsのライブは、普段と違う楽器で演奏しました。
メインのクラリネットを修理に出していて、サブの楽器でライブをやったんです。
メインの楽器よりも、運指がやり易くて音も均一です。
そしたら自然と、いつもと違うフレージングになるんですよ。

サブの楽器は、音程や音色の幅が狭いので、一音に留まる時間が短くなります。
そして、運指がスムーズなので、半音とか細かいフレーズが増えます。
とはいえ、慣れてない楽器で指のポジションが掴めず、隣のキイに触ってしまったりして、その帳尻合わせで余計に半音フレーズが増える、という。

メインの楽器だと、キイの配置が悪いので、運指がスムーズにいかず、指がバタつきます。
さらに、音色も均一ではないし音程も悪いので、そのルーズさも相まって、僕のスタイルは出来上がっているんだと思います。

僕は、自分のスタイルが好きです。
昔から、ぼんやりイメージはあったんだと思います。
で、そのイメージを形にしてくれたのがアルバート式クラリネット、中でもこの古いタイプの楽器だったんだと思います。
アルバート式を吹くのは、音色で選んでいる部分が大きいと思ってたけど、演奏イメージを具現化するためでもあったんだなーと気づきました。

なので、この楽器を吹いている限り、どんな音楽をやっても、ブレずにいることができるでしょう。
嬉しいです。

こういうことって、音楽以外のジャンルでもあると思うんです。
自分の中のイメージを形にしてくれるモノと出会えた人は幸せです。
さらに言えば、自分の内面を具体化できる表現形態を見つけられた人は、幸せです。
それが上手く合致しないケースもあるし、そのことに気づかず、合致しないままガムシャラにやって悩んでる人もいるでしょう。
それは、不幸だと思います。

僕は、幸せなんだな、と思いました。

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