訃報が続く

ダン・ヒックスが死んだそうです。
FBのタイムラインに沢山の投稿が流れてきます。
デヴィッド・ボウイの時と同じくらいの量です。
でも、一般にはあまり知られていないミュージシャンのはず。
たぶん、僕の周りにダン・ヒックスのファンが極端に多いんでしょう。

70年代のアルバムを愛聴していた時期もありますが、新譜もチェックしてなかったし、正直、もう10年以上聴いてなかった。
どこかの店でかかってて耳にしたような記憶も、なぜかありません。
あらためて聞くと、いい。
来日してたけど、行かなかったなー。
FBに投稿された映像を見ると、ライブはかなり面白かったみたいですね。
来日公演に行っておけば良かったと思います。
手遅れです。


もうどんどん死にますね。
自分が若い頃聞いて感動してきたミュージシャンが、次々といなくなる。
単純に、ロックの第1世代と言えるミュージシャンが高齢になっただけなんで、何も驚くことじゃないんですが、訃報に接する度に、ああまた!と思わずにいられません。

僕はアメリカにいたおかげで、日本には来ないミュージシャンを死ぬ前に見る機会がありました。
昔のように動けなくても声が出なくてもとても大事に扱われてて、そのことに感激しました。
ニューオリンズでは、伝統を受け継いできた高齢のミュージシャンと実際に接して一緒に演奏することができた。
やはりそれは、何にも替え難い思い出です。

日本でも、ニューオリンズ・ジャズをやっているおかげで、60〜70代のミュージシャンと演奏する機会に恵まれてきました。
年取ってるからすごい、って言うつもりじゃないんですが、やっぱり長い経験からくる何かが、あるんですよ。

若いミュージシャンがシーンの最前線でバリバリやってる最先端の音楽より、音も枯れてたぶんテクニック面ではピークを超えた年配のミュージシャンの音楽の方に、惹かれます。
スーパーテクニカルな超絶演奏より、地味で味のある演奏が好きなんです。
これはもう、好きなんだから、仕方ない。

ニューオリンズ「リバイバル」ジャズ、50年代からのプリザベーション・ホールに代表される音楽が、正にそう。
もっと分かりやすい例は、ブエナビスタ・ソシアル・クラブでしょう。
あの音、若いミュージシャンには出せないんですよ。
なんでなのか、本当に分からないけど。

そういえば、去年はジム・クエスキンとツアーも回りました。
ジムもたしか70才だったな。
まさか日本で、自分の聞いてきたアメリカのミュージシャンとやれるとは夢にも思いませんでしたね。
歳をとったミュージシャンと、何か縁があるのかもしれない。


明日、坂本さんとのデュオをやるので、つらつらとこんなことを考えてしまいました。
坂本さんは、まだ60半ばだけど、普段一緒にやってるミュージシャン達と比べたら、ぜんぜん年上です。
そして、他の60代のミュージシャンと比べても、すごく味がある。
こんな人と毎月やれることは、もうなかなかないかもしれない。
嬉しいことです。
明日も、色んなことにリスペクトを込めて、演奏します。

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