『八日目の蝉』は素晴らしかったけど、日本映画界は腐ってる

映画見ました。
『八日目の蝉』
面白かった!
いままで見た邦画で、いちばん良かったかも。
というのは、中身もいいんですが、映像演出のディテールが素晴らしい。
シーンの流れやムードや感情の動きを、微妙なライティングの変化やカメラワークで、本当に微妙に見せる。
見せるというより、感じさせる。
場面ごとに画面の質感も変えていたりして、それがまた効果的。
見応えがありすぎます。

役者もみんないい。
僕、日本の子役って演技ヘタクソだから大嫌いなんですが、この娘役の子はなかなか良かったです。
最後でストーリーを回収しないのも、好みでした。

でもひとつだけ問題が。
エンディング・ロールで、中島美嘉の曲が流れるんです。
これが最悪に映画をぶち壊してる。
映画用に誰かが書いた曲のようで、まるでマセた中学生のポエムか、あるいはJラップかというレベルまでに映画のストーリーを薄めまくっただけのペラペラの歌詞。
もしかしたら、曲だけ聞いたら悪くないのかもしれない。
でも、あまりに映画のトーンと違うために、もうクソ曲にしか思えない。
映画も台無し、曲も(もしかしたら)台無し、という、意味不明の相乗効果となっています。

そういえば、メジャー邦画って、たいてい「主題歌」があります。
これ、本当にやめてほしい。
アイドル映画とかならいいけど。
真面目に作られてる映画に、とってつけたように「主題歌」をくっ付ける、お金以外に全く理由の見えない仕打ち。
本当に日本映画界って腐ってるよな。

あと、同じ成島出監督の最新作『ソロモンの偽証』も見たんですが、これは普通のエンタメ大作映画なので特筆するものはないんですが、気にくわないのはこの映画、前編と後編に分かれてるんですよ。
これ、ただ2倍儲けようって以外に理由のない、どうしようもなく下世話な発想じゃないですか。

この前後編システム、洋画にもあるのかな?
思い当たらないんだけど。
まあ僕は洋画も最近のは詳しくないんだけど、少なくとも古いものだと、長い映画は途中で休憩が入るわけですよ。
休憩はあっても、一本の作品として見るのが、映画として当たり前。
それを、わざわざ2本に分ける。
公開時期もずらすから、映画館で『作品』として見ることは不可能。
で、本来は一本の映画で、2回お金を取れる。
儲かれば何でもいいのか。
何でもいいんだろうな。

他にも、洋画って下手な俳優は出ていない。
邦画は、演技もできないアイドルが平気で主役になる。
有名俳優のバーターで、同じ事務所の下手な無名俳優がキャスティングされることなんか当たり前。
そりゃ儲からないとダメなのは分かるけど、何でもいいっていうのはさ、大人としてどうなの?
映画が創作物だっていう考えは、日本映画界にはなさそうです。


そんな腐り果てた業界にあって『八日目の蝉』のような作品を作り第一線でやれてる成島出監督は、すごいな。

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