2016年2月15日月曜日

標準語と訛りと

音楽の話です。

マヌーシュ、広義のいわゆるジプシージャズを得意とするミュージシャンと飲んでた時のことを、書き留めておきます。

彼は、アドリブと取るとき、スケールは弾かないって言うんです。
アルペジオ(分散和音)じゃないとマヌーシュの雰囲気が出ないらしい。
そっち系の音源をいろいろ聞いてみると、確かにスケール・ランニングに依存してはいない。
そして、独特の「訛り」みたいなフレージングがある。
そのフレージングについては、一聴しただけじゃ仕組みが分かんないけど、なんかある。

ニューオリンズジャズに、似てます。
やっぱり基本はアルペジオです。
スケールが増えると、ディキシーやスイング・ジャズになってしまう。
ニューオリンズの伝統を守るクラリネット奏者マイケル・ホワイトにも、スケールは吹くな、と言われましたよ。
アルペジオも、基本は3和音でテンションはほぼなし。
テンション・リリースとかやると、もう雰囲気が違ってきてしまう。
そして、やっぱり独特の「訛り」みたいなものがある。
この「訛り」は、膨大な量のリスニングを経てようやく体得できるものです。
自然に訛れるようになると、すごく気持ちいい。

でも「訛り」は、他のジャンルに持ち込むと上手く混ざらないことが多々あります。
そういうときは、どうしてもスケールやコード分解みたいな論理的なアプローチに寄らざるを得ない。
でも、普段「訛り」に乗せて感情表現をしてる身としては、ロジカルなアプローチだと楽しさが半減してしまいます。
訛りたいけど訛れない。
慣れないジャンルの音楽をやる時は、そのバランスのせめぎ合いがどうしても起こります。

そう考えると、ジャズのアプローチは汎用性が高い。
スケールを基本とし、非常にロジカルで「訛り」もない。
もちろんジャズ的なフレージングはあるけど、それもロジカルに構成されてるので、そのままで大抵のジャンルにも合いますからね。
ロジカルだから優劣がつけやすいし、分かりやすく上達が測れるので、やり甲斐もある。
だからジャズ人口は多いし、応用力の高さから、他のジャンルよりも偉いとされてるんだと思います。
ジャズ以外のミュージシャンの中にいても、「彼はちゃんとジャズを勉強してる」とか言うのをよく聞きますからね。


言葉に例えると、世界を旅したいなら、英語か、地域によってはスペイン語が役に立つでしょう。
でも、どっかのアフリカの小国の言葉の響きを好きになってしまったら、それはもう仕方ないわけです。
日本でも、標準語は便利だけど、各地方のいわゆる方言には独特の響きがあります。
それぞれに魅力がある中で、標準語は汎用性が高いというだけのこと。
そう考えると、"標準"語っていう言い方自体が妙に思えてくるけど、まあ仕方ない。

それに倣えば、ジャズは"標準"音楽って言えてしまう。
そうすると、ジャズがいちばん偉いように思えてくる。
実際、ジャズは偉いとみなしてる人、すごく多いしな。
僕はジャズはできないので分かんないけど、別に偉くはないと思うな。
偉いとか優劣とかじゃないと思うんだよな。
皆さんどうですかね?


続きは今度飲んだときに。

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