2015年9月23日水曜日

『アメリカン・スナイパー』を見て考えた


『アメリカン・スナイパー』を見ました。
いい映画でした。
イーストウッド作品は、どれも間違いない。
過度な演出も自己主張もなく、丁寧に作ってある。

9.11後の戦争での1人の狙撃手の生活を、淡々と描きます。
見終わってから映画に関する情報をネットで調べてみました。
驚いたのは、戦争礼賛だ、という批判があったということ。

映画には、何の主張もありません。
ただ戦争という特殊な状況下での感情の動きを、丁寧に描写するだけ。
実話ベースの映画、ということも一因なのかもしれません。

いい映画です。
戦争を扱った映画で、それがいい映画だというだけで、戦争礼賛だ!という思考回路の人が、きっといるんでしょう。
なぜなら、その人達にとって、戦争とは何を置いても糾弾されなくてはならないものだから。
戦争は完全な悪なので、それを描いた映画を見て、戦争反対!以外の感想が出ること自体が、許せない。
それこそ思考停止です。
そういう人は、状況が違えば簡単に殺す側に回ります。
残念なことです。 

まあ、タイムリーだったということもあるでしょう。
例えば今、安倍晋三の映画が作られたとします。
そこでは彼の行動を美化も糾弾もせず、苦悩や悩みや家族といった、普通の人間としての喜怒哀楽を丁寧に描きます。
そんな映画がもし今公開されたら、多くの人から、戦争礼賛!とか言って糾弾されるんじゃないかな。

僕はこの戦争が開始された瞬間、アメリカにいました。
ニューオリンズのスタジアムで、フットボールか何かの試合を見てました。
突然、試合が中断されて、スクリーンに映像が映り、これから戦争を始めます、という宣言が出されたんです。
その瞬間、会場は大歓声で包まれました。
ほとんどの人達が、立ちあがって拍手したり喜びの声を叫んだりしています。

衝撃でした。
そして、理解しました。
多くのアメリカ国民にとって、戦争は他人事なんですよ。
だって、アメリカは土地が広い。
道がもう広いし、町を歩いてても、閉塞感がない。
この国は大丈夫だ、という漠然とした安心感があります。
頭で考えるんじゃなくて、体で感じるんですよ。
僕は、感じました。
そこが、日本とは全く違う。

彼らは、深く考えていません。
あのワールド・トレード・センターの映像を見て、ただ一時的に感情が動かされただけ。
それは、『アメリカン・スナイパー』でも描写されています。
主人公は飛行機が突っ込む瞬間の映像をたまたまテレビで見て、軍隊に志願します。
悪い言葉で言えば、バカで単細胞。
いい言葉で言えば、純粋。
だから、自分の行動を疑うことをせず、国を守る、という思想に全てを還元することができる。

この映画は、戦争を賛美も糾弾もしてない。
ただ、1人の人間の感情を描写するだけです。
僕は戦地に行ったことはないけど、自分の今まで経験した色んな感情が、動かされます。
戦争に対する考え方ではなくて、もっと個人的な感情です。
それによって、色んなことがリセットされ、自分に正しく生きよう、と改めて思います。

映画や音楽ができるのは、そういうことでしかないと思います。
この映画だって、他の映画だって、同じこと。
何を題材にしているか、という違いだけです。
これを見て、主張がどうのこうのと言い出す人は、信用できない。


と、全く映画の感想じゃない内容になってしまいました。
いい映画でした。
いい映画や音楽に接することは、僕にとって救いです。
イーストウッドってすごいな。

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