サックス新境地

どうやらサックス演奏法の新たな地平を俺は切り開いてしまったようだ。


クラリネットの頭部をアルトサックスに合わせることで、前人未到の音色が獲得された。
それはクラリネットであってサクソフォンでもあり、そしてそのどちらでもない。
管楽器の一つの到達点であるかのもしれない。




と、昨日はポーキーズのリハでした。
サックス吹くのは、前回のポーキーズのライブ以来。
スタジオで楽器ケースを開けると、なんと!マウスピースが入ってない!
どういうことだ!?
何が起こったんだ!?

無い物は仕方ない。
そして、バンドはいつでも真剣勝負。
トラブルを前に引き下がる訳にはいきません。
まず、受付に行って誰かのマウスピースの忘れ物でもないか聞いてみます。
あるわけない。

クラリネットも一緒に持ち歩いていたので、いっそクラでやろうかとも思いました。
でも、バンドと致命的に合わないことは分かってます。
クラは音が丸いので、こういう編成ではどうしてもエッジが立たずに物足りないんですよね。

この時!アイディアが降りてきました!
クラのマウスピースをサックスに付ければいいじゃん!
合わせてみると、サイズが合わずにはまらない。
それなら!
テープで貼っちゃえばいいじゃん!

クラのマウスピースを、ガムテープで貼り付けました。

ちゃんと音出ましたよ!
まあ、息は漏れてるので、驚異的に吹きづらいですが。
そして、ピッチもヤバい。
全体のピッチが半音くらい下がってしまいました。
それも、平均的に下がるんじゃなくて、低音域と高音域のバランスも酷い。
頭の中でキイを半音ずらして変換しながら、しかもピッチを大幅に音域ごとに修正しながら吹きました。

まあね、なんとか音は出る、というレベルですよ。
音色も、クラリネット寄りのすげー微妙な感じだし。
マウスピースでここまで変わるものか。
しかも、吹いてるとマウスピースがグラグラして、だんだんガムテが緩んできます。
どんどん吹きづらくなる。
本当、しんどいです。

しかし!
また思いついてしまった!
クラのバレル部分から差し込めばいいんじゃないか。
それが、この形です。

でもこれ、普通は無理なやり方です。
クラのバレルは内径が狭くて、サックスのネックが入る大きさじゃないんです。

僕のバレルは、特注品です。
アルバート式は楽器の内径が広いので、内径の狭い現代のマウスピースとのバランスを取るために、バレルの中を一度くり抜いて、特殊な素材と形状のパーツを差し込んであります。

そのパーツを外すと、バレルは内径がだいぶ広い状態になり、サックスのネックがはまるんです。
少し緩いので、ネックにガムテープを重ねて巻いて調整して。

これでかなり改善されました。
とは言え、ピッチと音色と息の入りづらさは基本的には変わりません。
息の入れ方をすごく意識しないと音が出ないし、ずっと半音上の指使いをしてなきゃいけないし。
今まで体験したことのない感覚でした。
正直言って、これで2時間のスタジオはキツかったです。

メンバーにも、もちろん好評なわけありません。
でも、僕は考えます。
バンドの一番の敵は、マンネリズムです。
今回のトラブルによって生まれた緊張感は、バンドを活性化するカンフル剤としての効果もあったんじゃないか。

と、リハ後の飲みで話したら、一笑に付されて終わりましたとさ。

コメント