一年の終わり

大晦日。
やはり、1年を振り返る、という気持ちが出てくるものですね。

今年は、音楽活動を本格的に再開した年でした。
変化と出会いが、たくさんありました。

アメリカから帰国して3年半にもなろうとしています。
帰国当初は、ニューオリンズ・スタイルのジャズを演奏していました。
それが帰国後半年もしない内に、ストーカー的な行為に会い、演奏活動をストップして姿を消さなくてはいけない羽目になりました。
それから1年以上も経った頃、まったく新しい人達とまったく新しい場所で細々と、まだ隠れるようにして、演奏活動を再開しました。
一から、始めたわけです。
それからだんだんと出会いが繋がり、活動が広がっていきました。
そして今年の7月。
いい加減、逃げ隠れするのが嫌になり、開き直ってすべてオープンに活動をしていく決心をしました。
もう、どこにでも名前を表記してもらって構わない。
来るなら来い。
そしてブログを始めました。


新しい出会いは、宮腰理が最初でした。
ニューオリンズ・スタイルのピアニストで、サム・クックを愛する素晴らしいシンガー。
ステージでも、どこまでも突き抜けていける。
僕も何の遠慮もなく、思いっきりやれた。
グルーヴの感覚までも共有できたし、すごく楽しかった。
自分の聞いてきた、例えばDr.Johnとかの音楽を、自分の楽器を使って表現できる相棒とやっと巡り会えた、と思ったら、彼は地元の福井に帰ってしまった。
残念だったけど、まあね、人生はいろいろです。

そこから繋がったのが、モッチェ永井。
ずっと聞いていたい、その声。
久しぶりに、いいシンガーの隣で吹く喜びを味わいました。
自分の核であるニューオリンズのエッセンスが、他の音楽に混ざっても失われることがない、という確信も持ちました。
彼の周りには、渡米以前に一緒に演奏していた古い友人達もいたりして、縁をね、感じましたよ。

さらにカリプソ~ラテンの世界へと繋がっていき、ついにはコロリダスに加入。
まさかバンドに入るなんて、思ってもいなかった。
しかもそれがブラジル音楽だなんて。
コロリダスはひねくれポップの要素もあって、ハタチの頃、サージェント・ぺパーズやアサイラム以降のトム・ウェイツやオブ・モントリオールやパスカル・コムラードみたいなバンドをやっていた自分ともリンクします。
なんだか、今までの自分の音楽体験が集約するかのような期待で、楽しみです。

10月には、高橋絵実さんと出会いました。
今まで実際に聞いた・共演したシンガーの中でも、こんなにも魂を震わせてくれる人はいない。
上手いとか下手とか、そういうのとはもう別次元の話。
そのひと言、歌の中の一節、一音で、何度も涙が出ます。
ここまで感動させてくれるのは、他にはJohn Boutte とあがた森魚、木下幸子くらいしか、思いつきません。
こんなシンガーと出会えて、そして一緒に音を出せるなんて、夢のようです。
サム・クックやビリーホリデイはもう死んじゃって聴けないけど、絵実さんはまだまだこれからたくさん聴ける。
音楽って、素晴らしい。

そして自分のバンド、Golden Wax Orchestra。
昨年末に、まあ思いつきで始めたんですけどね、こんなに上手くいくとは思わなかった。
僕は歌が好きです。
昔から、好きなミュージシャンは?と聞かれるといつも、サム・クックと答えていました。
あんな風に歌いたい!という思いを、ついにクラリネットで実現することがでたんです。
ずーっと、自分の聞いてる音楽と自分の楽器とのギャップに悩んできたのが、初めて一致しました。
もう、何の遠慮も迷いもありません。
はっきり言って、こんな風にやれるクラリネット奏者は、世界中で僕しかいないと自負しています。

ニューオリンズ・クラリネットを追求する、近藤哲平トリオもやりました。
いいミュージシャンともたくさん出会いました。
こんなにも音楽的に広がりのある年は、なかったかも。
この広がりを、もっともっと形にしていきたい。
ワクワクします。

来年も、よろしくお願いします。







~お知らせ~
12月7日、三鷹にある音楽バー、バイユーゲイトが火事に合いました。
隣のビルからの出火が燃え移ったもので、被害により営業停止、いまだ再開の目途は立っていません。
大好きなお店です。
音楽を全肯定で愛する、ピュアなお店です。
少しでも、僕のことが好きだったり、興味があったりするのであれば、是非、再開支援の寄付をお願いします。
1000円でも2000円でも、未来の飲み代と思って。
そして、再開した時には、バイユーゲイトで一緒に飲みましょう。
ライブでも、お店で最高の演奏をすることを、約束します。

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