2014年11月26日水曜日

Bulletproof Musician: 音を出す前に聴け

Bulletproof Musician という英語のサイトの記事を、ランダムに翻訳するシリーズです。ミュージシャンのメンタル面に関する内容を扱っています。音楽をやっていない方でも、自己管理やマインドの問題に興味があるなら、是非ご一読下さい。




Everything You Do is an Accident, if You Don’t Do This First



子供たちが、テコンドーの昇級テストを受けた時のことです。
最後に、キックで板を割る課題がありました。
いつも、ほとんどの子供は数回で成功し、最後には全員合格します。
しかしこの日は違いました。
一人の生徒がつまづいたのです。
彼女は、それまでの課題を難なくこなし、板割りもすんなりクリアできるはずでした。
けれど、どういうわけか、板は割れなかったのです。
他の生徒はみんな合格した後でした。
部屋は次第に静まりかえり、全員の視線が彼女に注がれます。

数分間蹴り続けても、板は割れません。
6歳の女の子の顔には焦りが浮かび、見ていられません。
涙をこらえながら、次第に速く激しく、何度も何度も板を蹴り続けます。
誰もが、その場から消えてしまいたい気持ちだったはずです。

見かねた黒帯の年長者が歩み寄り落ち着かせようと声をかけます。
ようやく、彼女は自分を取り戻し、そうしてついに板が割れた瞬間、安堵のため息と共に割れんばかりの拍手が起こりました。

これは、忍耐力(テコンドーが生徒に叩き込む5つの教義の内の一つ)の問題でもあるでしょう。
しかし、パフォーマンス心理学者として、私は別の側面に惹かれます。
それは、彼女の焦りが増すにつれ、キックが速く激しくなっていったことです。

うまくいかない時、リセットしてやり直したい衝動に駆られることがありませんか?
私も学生時代のレッスン中に、先生の説明をさえぎって、失敗した部分をもう一度弾きはじめることがありました。
それによって、アドバイスを聞く機会を失うことにも気づかずに。


奏でる前に聴く

以前、Leon Fleisher のレッスンに参加しました。
彼が繰り返し強調していたのは、演奏を始める前に、出したい音を正確にイメージしておけ、ということでした。

※元の記事では、ここにLeon Flesher の講義の映像のリンクが貼ってありますが、英語なので割愛しました。
興味ある方は元記事からご覧ください。


Quiet Eye

スポーツ心理学では、選手がターゲットを定めるまでの時間に着目します。
バスケットボールのフリースローを例にとってみましょう。
一流の選手は、シュートを打つ前に、長い時間をかけてターゲット(バスケットゴール)に狙いを定めます。
この時間は “Quiet Eye (静かな眼)” と呼ばれます。

最近、別の研究チームがビリヤード選手を対象に調査を行いました。
その結果、ショットが成功した場合のQuiet Eyeの時間は、失敗した場合に比べて2.5倍の長さでした。
重要なのは、これはショットの難易度(そして選手の力量)とは無関係だということです。

Quiet Eyeは、実際のアクションの前に、脳が身体の動作を組み立て構成する、準備時間と言えるでしょう。


Take action

音楽の場合であれば、「音を出す前に聴く」ということになります(“Quiet Ear” と呼べるでしょう)。
ターゲットは、運指やフォームの正確さではなく、実際に出す音やフレーズです。 
音を出す前に少しだけ時間を取って、出したい音をできるだけ正確にイメージしてみて下さい。
そのプロセス抜きでは、どんな演奏も偶然の結果ということになります。

このブログの読者であれば、聞き覚えがある内容に感じるかもしれません。
実は、“Quiet Ear”は、センタリング(不安を取り去り、常に100%の能力を引き出すための方法)の重要な要素のひとつでもあるのです。


 The one-sentence summary

“事前に必ず道順を決めること。さもないと路頭に迷うだろう。”
A. A. Milne (「くまのプーさん」の作者)

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