水晶になりたい

昨日はバンジョーの坂本さんとデュオ。
最高でした。
坂本さんは、僕が感動してきたニューオリンズ音楽のコアな部分を持っている人。
それはいわゆるニューオリンズ・ジャズの中でも「リバイバル」と呼ばれる、プリザベーション・ホール初期に録音されたものに顕著なもので、たぶんもっと分かり易く言えば『ブエナ・ビスタ~」あたりに通じる感覚です。
坂本さんの演奏からは、それらの音楽と同じ何かが聞こえてくるんです。
きっと僕の何倍も、音楽を聴いてきたんでしょう。
ソウル不毛の地である日本で、坂本さんのようなミュージシャンと一緒に演奏することができるなんて、とてもラッキーだと思います。
日本でニューオリンズ・ジャズを演奏することはあきらめてるし、坂本さんとやれれば、もうそれでいいや。


中尾淳乙さんが、ソロ・アルバムを聞かせてくれました。
最高でした。
隅々まで音楽愛があふれている。
楽器の選択や曲作りといった具体的なことだけじゃなくて、ギターのフレーズのニュアンスひとつで、泣かされてしまう。
こんなことは、めったにありません。
たくさん音楽を聴いてたくさん感動してきた人なんだろうな。
こんな演奏の前には、もう何もかなわない。


僕は、坂本さんや中尾さんみたいになりたい。
音楽をやるのは、自己表現ではないんです。
実験も冒険も、創造することもいらない。
今まで連綿と続いてきた素晴らしい音楽の世界に、ただ混じりたいんです。
自分の演奏はすべて、自分から出てきたものじゃなくて、過去の音楽のエコー。
そんな風になりたい。
自分を消して、音楽の一部になりたい。

ってことを、いつも思ってるんだけど、坂本さんと中尾さんのおかげで、またあらためて確信しました。

中尾さんのアルバムを聞いた感動の中でこれを書いてるので、なかなか感情的な文章になってしまった。
感動したことを、書き留めておきたかったんです。







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