2016年5月10日火曜日

Jonathan Richman

しばらく前にお茶の水のレンタル屋JANISに行った時のこと。
CDを探してフロアを歩いてたら、すごいカッコいい音楽が流れ始めたんです。
シンプルで呪術的なサウンドと、淡々と歌う男性ボーカル。
その組み合わせがあまりに最高で、思わず店員に聞きました。
「コレ誰ですか?」
「ジョナサン・リッチマンです」
「!!!」

大好きなミュージシャンなんです。
いや本当に。
ずいぶん前に出た『Rhythm & Pencil』という雑誌のジョナサン特集も持ってたし、ジョナサンが出てるという理由で映画「メリーに首ったけ」も見たくらい。
しばらく聞いてなかったので、不覚にも思いつきませんでした。

よく聞けば、確かにジョナサンの声です。
女性コーラスも、代表曲のひとつ"That Summer Feeling"を思わせるし。
それにしても、知らずに反応した曲が、大好きなミュージシャンだったとは!
やっぱり自分ジョナサン・リッチマンが好きなんだなーと思って嬉しかったです。
もちろんレンタルしましたよ!


ジョナサン・リッチマン。
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドに憧れて組んだバンド、モダン・ラヴァーズでデビュー(後年、ズバリ"Velvet Underground"という曲も書いてます。名曲です。)。
パンクの元祖とも言われています。
といっても、モダン・ラヴァーズの音は全くパンクではありません。
パンク・シーンでリスペクトされているから、という理由でしょう。
代表曲"Road Runner"は、ピストルズやジョーン・ジェットにもカバーされていますしね。

"Road Rnnner"の入っている1stはまだしも、2nd『Rock 'n' Roll with the Modern Loversは、最早パンクとは対極のユルユル・サウンド。
ジャケからして、パンク色ゼロです。

ふざけてるのか真面目なのか、というくらい。
このアルバムからは、「エジプシャン・レゲエ」というヒット曲が生まれています。
音も最高ですが、この映像も最高すぎる!
レゲエやエジプト音楽を追求してる人なら激怒するんじゃないかと心配になるほどの、ユルさ、というか適当さ。
この適当さが好きかどうかが、分かれ目ですね。
真面目すぎるリスナーには、ジョナサン・リッチマンはちっともアピールしないでしょう。


そう、このユルさが、ジョナサンの魅力なんです。
歌もギターも、もちろんちゃんと演奏してるんだけど、どこか間の抜けた感じがある。
こういう個性は、狙って出せるものではない。
バンドのサウンドがどうだろうと、生来のものであるジョナサンの個性は揺るがない。
カントリー・アルバムも作っていますが、バンドの音は正統派なのに歌の存在感だけで「ジョナサン・リッチマン」になってしまう。

曲はシンプルでキャッチー。
変わったコードや凝った構成はありません。
アメリカン・ポピュラー・ミュージックの伝統の中から「気持ちいい」要素だけを集めて作ったような。
ビートルズ以前の職業作曲家の時代、ティン・パン・アレイ/ ブリル・ビルディングの楽曲のような手触りです。
バカラックよりは、リーバー&ストーラーの感じ。
あるいは初期のモータウンとか。
まるで鼻歌で作ってるようなナチュラルさがあります。

代表曲として、"Road Runner" "Egyptian Reggae"と並んで知られているのは、『Jonathan Sings!』の一曲目、"That Summer Feeling"でしょう。
あの夏の感じ
理由もなく
何かに熱中して
恋に夢中になって
親友と呼び合うような
そんな気持ちが抑えられない
あの夏の感じは、いつまでも消え去ることはないだろう

冒頭だけ、意味を優先して訳してみました。
元の歌詩がとてもいいので、興味あれば是非「that summer feeling lyrics」で検索してチェックしてみてください。
この曲をお気に入りに挙げるミュージシャンも多いです。
甲本ヒロトはジョナサンの大ファンだと公言していて、ハイロウズで共演もしていますね。


ジョナサンの代表作を挙げるのは難しい。
アルバムの数も多い上に、
当たり外れがありません。
とにかく「ジョナサン・リッチマン」という個性自体が魅力なので、どのアルバムも「ジョナサン」でしかない。

個人的にその中でも好きなのは『Modern Lovers 88』。
バンドの音づくりがいい。
全く気負わない、自然体のロックン・ロール。
ロックの「うるさい」「激しい」というイメージは皆無です。
ドラムもギターも、とても暖かい。
誰も、怒鳴らない。
選曲のバランスも良く、アルバムとしてまとまりがあります。
最初に聞くなら、『Modern Lovers 88』はオススメだと思います。
ジョナサンの色んな魅力がバランス良く詰まったアルバムです。
"Dancin Late At Night"

もっと後の『I, Jonathan』あたりも、すっきり整理されたサウンドで聴きやすい。
"I Was Dancing in the Lesbian Bar "

『I'm So Confused』は、珍しくコンテンポラリーな音です。
これが、意外に普通にカッコイイんですよ!それでいてジョナサンぽさも失われていない。
カーズのリック・オケイセックのプロテュースが、素晴らしい。
"When I Dance"

変なロックが好きなら、"Egyptian Regae" の入っている『Rock 'n' Roll With The Modern Lovers』ですね。
間違いのないモンドなサウンド。
"Ice Cream Man"
この曲にトライアングルを入れるセンス!


そして新譜『Ishlode! Ishkode!』も素晴らしい!

このジャケ、もうどこまで本気なのか。
いや、そんなことは最早とっくに超越した地点に、この人はいるんだろう。

アコースティックでシンプルな音づくりはいつも通りですが、今作はロックン・ロール色が薄いです。
タム主体のドラム(?)がドンドコドンドコ鳴ってて、「民俗」「アフリカ」「呪術」とかいう形容詞が似合うような、ファンクとは違うファンキーさ。
雰囲気としては、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの、"All Tomorrow's Parties" みたいな怪しさもあります。
あらためて、ジョナサンがいかに影響を受けているか分かった気がします。
あの歌い方はルー・リードとも言えるし、ドラムの感じはモーリン・タッカーみたいだし。

いつものジョナサンの魅力はそのままに、今までとひと味違ったアルバムです。
どんな音楽的要素を取り入れてもジョナサン・サウンドになってしまう凄さが、堪能できます。
ファンキーでカッコいいですよ!


やはり、ジョナサン・リッチマンは唯一無二の存在。
大好きです!

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