2016年5月12日木曜日

古くて小さな店がいい

ダウンベストを、クリーニングに出そうと思ったんです。
でも、もしかしたら安くないかもしれない。
革モノのクリーニングとか、何千円もかかるじゃないですか。
ダウンも、普通の服とは違いますからね。

ネットで調べてみると、商品によっても、そして店によっても値段が違うらしい。
で、何軒かある近所のクリーニング屋でそれぞれ見積もりしてもらうことにしました。
まず駅前のチェーン店に行きました。
そしたら、モノを見る前に1200円です、と言われて。
ああ、そんな値段なら全然OKだな、と思って。
でも、いちおう他の店にも聞いてみようと、また考えます、って言って、出ようとしたら、「ハァ」って鼻で笑われて。

その店員の態度に、ちょっと驚いたし、正直、不快になりました。
今後この店には頼まない、と思いました。
実は、いつも出してるクリーニング屋が他にあって、値段に大差なければそっちに出そうと、最初から考えてたんですけれど。
それじゃなくても、何か機会があったとしてもこの店には出さない、と、思ってしまいました。

で、気分をリセットがてら近くの老夫婦のやってるパン屋に行って食パンを買ったら、かりんとうを一袋おまけしてくれた。
それでいい気分になったところで、いつものクリーニング屋に行きました。
おばあさんが一人でやっている、いかにも古そうな店です。
相変わらず座ってボーっとテレビを見てたのが、僕が入っていくとのんびり立ち上がって、ダウンを広げて確認して、1000円だと言うので、そのまま預けました。
仮に、さっきの店より少しくらい高かったとしても、お願いしたと思います。


家に帰ってしばらくすると、ドアをノックする音がしました。
出てみると、人の良さそうなおじさんが笑顔で立ってる。
植木屋だと言います。
ウチは借家で小さな庭があって、もみじの木が植えてあるんですが、だいぶ伸びてるから手入れしませんか、と。
丁重にお断りしました。
庭木の手入れなんて、そんなの全く考えてもいなかったし、そもそも自分の持ち家じゃないし。

でも、おじさんが帰った後で、考えました。
これが自分ちで、いろいろ余裕があったら、こういう機会に庭木を整えてもらってもいいな、と。
だって、おじさんが良い人そうだったから。
なんか、あの人に何かお願いしたいな、と思ったんですよね。


お店を選んだりモノを買うのって、値段だけじゃないんですよ。
そこでサービスを受けることで、いい気分になれるかどうか。
もちろん、モノ(あるいはサービス)の対価としてお金を払うわけで、それは表面的にはモノとお金の交換です。
でも僕にとって、それはそんな即物的な行為じゃなくて、気持ちの部分が大きいんです。

そうすると、大手チェーン店より、個人のお店がいい。
いつも同じ人がいて、顔見知りになって、それが近所の店ならたまに道でバッタリ出会うこともあってりして。
特に古いお店だと、おじいさんやおばあさんがやってて、そこに行くだけで、なんだかいい気分になれます。

なんというか、顔が見える。
その人が見えるんですよね。
その人に、お金を払いたい。
その店がなくなったら、その人に会えなくなったら、寂しい。
ただモノを買いに行くんじゃなくて、お互いの持ち物(商品/お金)の交換を通じて、気持ちも近づくこと。
大袈裟に言えば、心の交感なんですよ。


同業の店がいくつかあれば、たいてい古くて小さい店を選びます。
大手のクリーニング屋の方が汚れが落ちそう、なんて言う人もいるかもしれません。
定食屋だったら、古い店は汚そう、とか。
そんなこと、大した問題じゃありません。
僕にとっては、そこにいる人の中身が感じられる方が、大事なんです。
モノを買うためだけにお金を払うなんて、逆にもったいないと思ってしまう。
同じお金を使うんだったら、それで「モノ」だけじゃなく「いい気分」も買える方が得じゃないか。


ということを、考えた午後でした。

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