ツアーで人に出会う


コロリダス東北ツアーに行きました。
最後の夜は、山形県鶴岡市のBar Trash。
店主のタケシさんが、いい。
気取らない、自然体、みたいな、気さくとはまた違うんだけど、とにかく構えない人。
そういう人に憧れます。

Trashの階段には、過去にやったライブのチラシが貼りまくってある。
その中には、遠藤ミチロウ、三上寛、そしてブラインド・ミウラ・ストレンジャー。
ミウラさんは、ツアーに出る数日前に、相変わらずの素晴らしいライブを見たばかり。
山形在住のジャグ吹き山口さんも、いい店だよ!って言ってた。

狭い店です。
だからライブはどうしても熱くなる。 
タケシさんの佇まいに自分のパンク魂が刺激されて、余計にテンション上がりました。
メンバーもみんな疲れてて、最後の夜だし、パーカッションの2人は一曲目から飛ばしてくるし、けんた君も最後には叫び出してた。
良かった。
僕は、熱量を欲するタイプなので、小さな店でのライブが好きなんです。


ライブ後にカウンターで別の店員と話してたら、2月に亡くなったあるミュージシャンの名前が出てきて驚きました。
彼は数年前に東京から山形に戻り、今年に入って突然ガンが発見され、その確か1〜2週間後に亡くなってしまった。
死の数日前に、とても演奏できるとは思えない状態だったのに、ライブをやったそうです。
そのライブを見た人から、話を聞いていました。
そして、いまカウンターの中で話してる相手は、彼の最後のライブのメンバーだったというんです。

そんな偶然が、あるなんて。
彼はルーツ・ミュージック寄りのミュージシャンだったので、ラテンバンドのコロリダスとは、決して音楽的に近いわけじゃない。
それなのに、たまたまツアーで来た小さな店のカウンターで、その最後のステージを共にした一人に出会うなんて。
なんというか、うまく説明できないけど、とても不思議な感動でした。

夜中まで飲んで、帰り際にハグしたとき、その人は感情を抑えきれなくて泣いた。
それまで話してるときは、ずっと笑ってたのに。


ツアー中、いろんな所で演奏して、いろんな出来事があったけれど、やっぱり心に残るのは、人です。
いまも、鶴岡での夜の空気が、最後の長いハグの感覚と共に、ぼんやりと身体に残っています。

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