N.O.生活3 - 学校の様子

大学のキャンパスは広くありません。
30分くらいで一周できます。
学部ごとの建物と、図書館、ホール、銀行、警察、学食、体育館、があります。
ハリケーンの名残で、建物はあちこち壊れていたり、街灯がつかなかったりします。
とはいえ、名門校ではないので元々お金もないだろうし、どこまでがハリケーンの仕業でどこまでが老朽化なのかわかりませんが。

全体的に芝生が多く、公園のようです。
寮にも中庭があり、外で勉強したり寝転んでくつろいでいる生徒もいて、のんびりした雰囲気でした。
まさに南部の田舎町、レイドバック、というやつです。
うっかりすると、昼寝だけで大学生活が終わってしまいそうな。


ニューオリンズ大学は、専門学校ではなく普通の州立大学なので、いわゆる一般教養の授業があります。
数学とか物理とか生物とか。
これが、大変でした。
授業の内容だけではなく、それを英語で聞いて理解する、というプロセスが加わるからです。
慣れない英語生活ですから、朝からずっと集中してヒアリングの特訓を受けてるようなもの。
すごく疲れます。

さらに、単語の問題があります。
たとえば生物の授業。
心臓とか肝臓とか動脈とかの英語の名称を覚えなきゃいけない。
もちろん母国語でなら、誰でも知ってる単語なわけです。
でもそんな名前、英語を勉強しててわざわざ暗記しませんからね。

とにかく、ネイティヴの学生にはない負担が、たくさんある。
教科書を読むスピードも遅いし、聞き間違いや読解ミスもあるし。
かなりの時間を取られます。
遊んでるヒマなんてありません。

寮はキャンパス内にあったので、授業の合間も部屋に帰って勉強してました。
もちろん、楽器の練習もしなくちゃいけない。
留学当初はまだまだ英語力もなかったし、町に出るヒマもほとんどなく、本当に寝る間もない、という具合でした。
こうして思い出してみると、よくやってたなーと自分に感心します。


寮からいちばん近い建物の中に、音楽学部と映画学部が入っています。
二階に楽器の練習室があり、24時間使えます。
建物は0時に閉まるのですが、その前から中にいれば、追い出されることはありません
夜中もたいてい誰か練習してるので、ドアを中から開けてもらって入ったりしてました。

練習室は、全部で10部屋くらいでした。
ほとんどの学生は自宅で練習するので、練習室が全部うまることはまずありません。
全室ピアノがありますが、どれもボロボロ。
調律してないどころか、音が出なかったり鍵盤が戻らないものもあります。
部屋の中も、ゴミが散らかっていて汚い。
練習できれば何でもいいけど、飲み残したコーラのペットボトルやバーガーキングのポテトが散乱してるのには、あきれてしまいます。

ただでさえ練習室を使う学生は少ないのにくわえて、クラリネットは僕しかいません。
なので、誰かに会うと、あーあのいつもクラリネット練習してる人だね、と言われるようになりました。
おまけにアジア人ですから、すぐに覚えてもらえて得でしたね。


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