2016年7月16日土曜日

日本の映画人はみんな犬に違いない

ウディ・アレンの新作『教授のおかしな妄想殺人』を見てきました。
『罪と罰』的な、殺人をめぐる話です。
殺人がメインではないし、ホアキン・フェニックスとエマ・ストーンの恋がメインでもない。
事件のまわりの人物の様子を、クールに淡々と描きます。
それが説明不足に感じることもあるかもしれません。
でも、その淡々とした感じが、逆に緊張感につながっている気がして、相変わらずの無駄のない演出と相まって、個人的にはすごく楽しめました。
60年代あたりのヨーロッパ映画みたいな印象を受けました。

映画は楽しかったけど、僕は怒ってます。
また宣伝にだまされた。
この映画、まったくコメディ要素ないんですけど。
『教授のおかしな妄想殺人』てタイトルで、チラシはこんなの。
コメディだと思うじゃないですか。
チラシ裏面にも、「ダークコメディ」って書いてある。
僕、映画に行く時って事前に情報集めたりしないので、このチラシだけを見てコメディと思い込んで見はじめたんですよ。
で、音楽もコメディにも合うようなファンキー・ジャズだし、物語が展開していくまでしばらくは、コメディなんだろうな、と思って見てました。
でも、コメディじゃなかったんですよ!

確かに、カテゴリー分けの難しい映画だと思います。
あえて分けるなら「犯罪映画」なのかな。
でも、そう言われても違和感がある。
犯罪が中心でもないし、恋が中心でもないし、人間関係が中心でもない。
特に何が中心、ということがない。
アレン映画ってだいたいそうだけど、アートでもエンタメでもない、微妙な立ち位置なんですよね。

でも、犯罪や恋の要素はあっても、コメディの要素は、ゼロですよ!?
ウディ・アレンの映画だから、とりあえず「お洒落なライト・コメディ」ってやっときゃ客来るだろう、とか思ってるんじゃないの?
観客をバカにするにもほどがあるよ!
俺はコメディのつもりで見はじめて、気持ちをシフトさせるのにちょっと時間がかかったよ!
いい迷惑だよ!
そんなだまして客集めて、プライドとか映画に対する敬意とか、ないの?

まあ、ないんでしょうね。
そもそも、映画の宣伝会社や批評家って、バカしかいないんですよ。
映画なんて好きでもないし、そもそも見るアタマもないバカ中のバカ。
だって、『ブルー・ジャスミン』でさえ、コメディって宣伝してたし、9割の批評家もコメディって言ってた。
あきれますよ。
ちなみに『ブルージャスミン』をコメディと見なしてなかったのは、僕の知るかぎり前田有一だけ。
終わってるよ、日本映画界。

画面で変わった行動が起こっていれば、パブロフの犬みたいに自動的に「ギャグ」とみなしてしまうんでしょう。
その理由は問わないんでしょう。
でも、例えば登場人物がおかしい言動をしてたとしても、それが狂気からきていたとしたら、笑えないどころか戦慄することだってある。
そういう、行動の「理由」や「心理」みたいなことを想像する能力が、日本の映画人には欠落してるんですよ、きっと。
そんなの、もう人間じゃなくて犬ですよ、犬。
条件反射でしか映画を見てない。
頭は動いてないんですよ。

『教授のおかしな妄想殺人』の場合、たぶん、テンポのよさからコメディって言ってるのかな。
「ドラマ」にしては、説明というか「間」がないし、ぽんぽんと出来事が起こってくるので。
いや、犬の思考はわかんないですけどね。
あんまり自分の印象と宣伝やレビューが違うので、海外のサイトを見てみたんですよ。
そしたら、コメディなんて言ってるものはひとつも見つかりませんでした。
英語圏では、サスペンスって位置付けのようです。

それとも、コメディの定義が違うのかな?
僕は、コメディっていうのは、笑わせることを目的とした映画、と思ってます。
骨太な伝記映画とかだって、会話の中でクスっとする部分があったりするじゃないですか。
そういうのは、コメディ要素とは違う。
それは、ギャグじゃないんだから。
クスっとさせてリラックスさせる目的と、笑いを取るのは、ぜんぜん別のこと。
って僕は思うんですけど、日本の犬ちゃん批評家は違う考えなのかな。
でもそれじゃ、本気で笑いを追求してるコメディアンに対しても失礼だと思うけど。

とにかく、映画はよかったのに、この宣伝はひどすぎる。
賛否はあれ、ちゃんと作ってあるいい映画なんだから、ちゃんと扱ってほしい。
日本の配給や批評家には、幻滅させられっぱなしです。
映画が好きじゃないんなら、映画の仕事につかないでほしい。
って、思うのは、夢を見るようなことなんでしょうか。






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