N.O.生活9 - 音楽活動開始

後期の授業が始まり、しばらくした頃だったと思います。
ジャズ科の韓国人ドラマー、Jungho Kangからバンドに誘われました。
学外で「トラッド」のバンドをはじめたんだ、と言います。
「トラッド」とは、古いスタイルのジャズの呼び名です。
向こうではみんな曖昧に使っていて、スイングもディキシーもニューオリンズも、とりあえずモダン以前のジャズは「トラッド」です。
ジュンホーは古い音楽のことはあまり知らず、説明されてもよくわからないし、とりあえずメンバーに会ってみようということになりました。

ジュンホーの車でメンバーの家に行きました。
そこにいたのは、バンジョーとトロンボーンの若いミュージシャン2人。
バンジョーはChris Edmunds。
クリスは地元の生まれで、他の州の大学(大学院だったかもしれません)を卒業し、ニューオリンズに戻ってきたところです。
地元の出身ですが、ニューオリンズ音楽についてはほとんど知りません。
最近になってトラッドに興味を持ち、ギターを弾いてたのをバンジョーに持ち替え、人を集めていました。

トロンボーンは、Charlie Halloran
セント・ルイス出身で、ニューオリンズ音楽に惹かれてハリケーン後に引っ越してきたミュージシャンです。
チャーリーは、古いものから現在までのニューオリンズ音楽に精通していて、とても話が合いました。
伝統的なニューオリンズ音楽の話ができるミュージシャンは、若手にはほとんどいませんでしたからね。
僕はアメリカ滞在中ほとんどの期間このバンドに在籍するのですが、それはチャーリーの存在が大きかったです。

ちなみに、チャーリーは今ではニューオリンズで中堅ミュージシャンとしてのポジションを確立していて、トラディショナルなシーンから、ジャズ、ロック、ファンク、アラン・トゥーサンのバンドまで広く活躍しています。
クリスは、観光客向けのシーンやホテルでの演奏で、バンジョー・プレイヤーとして活躍しているはずです。
ジュンホーは、UNO卒業後ボストンのバークリー音楽院に進み、そのまま向こうでドラマーとして活動しています。

しばらくクリス、チャーリー、ジュンホーの3人でストリートで演奏していたのが、今度ライブもやることになったから一緒にどうだ、と言われました。
学校も大変でしたが、まあライブ断る理由もないし、とりあえずOKしました。
それが、長くバンドとして活動することになるとは、この時には思いませんでした。

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