N.O.生活10 - バンド結成

誘われるままに、学外での演奏活動が始まりました。

ニューオリンズでライブをする場所は、飲み屋がほとんどです。
いわゆるライブハウスというのは数えるほどしかありません。
地元のライブハウスとしては、「ティピティナ」だけなんじゃないかな。
他には、ダン・エイクロイドが経営に参加している全米チェーンの「ハウス・オブ・ブルース」と、ジャズ・クラブの「スナッグ・ハーバー」くらいしか思い当たらない。
それらの店は、人気バンドの出演やイベント等が多く、普段演奏する場所ではありません。
ホテルのレストランでの演奏もありますが数は多くなく、ほとんどは飲み屋です。

最初は、若者の多く住むローカル・バーで演奏しました。
クラリネット、トロンボーン、バンジョー、ドラムは固定ですが、それ以外のパートは毎回違うミュージシャンです。
当然リハもなく、やる曲もその場で決めまるので内容もバラバラです。
しかし、そうしたセッション的なライブは意外に長く続かず、すんなりメンバーが固まってきました。

トランペットはGordon Au
ゴードンは、今まで出会った中でも抜群に才能のあるミュージシャンの1人です。
出身地のカリフォルニア、サクラメントやシリコン・バレーの周辺の地域では古いジャズが盛んで、彼も幼い頃からファミリーバンドでジャズを演奏して育ちました。
ちなみに、N.O.のトップ・チューバ奏者のMatt Perrineも同じ地域の出身です。
ボストンのバークレー音楽院の作曲科を卒業後、ジャズのエリートを集めた選抜ワークショップ「セロニアス・モンク・インスティチュート」の一員にトランペット奏者として抜擢され、ニューオリンズにやってきました。
イマジネーションあふれるプレイで、一緒に演奏するのがすごく楽しかった。
絶対音感を持ち、音楽の全てを把握しているようで、作曲の才能もあり、天才と呼びたくなるほどです。
今はニューヨークで活動しています。

そして、サックスのAurora Nealand
オーロラは、ハリケーン後にニューオリンズに移ってきた若いミュージシャンのひとりです。
サックス奏者としては、決してものすごく上手いとは言えないんだけど、非常に華のあるプレイヤーです。
彼女もどこかの学校の作曲科出身で耳が良く、どんな音楽にでも合わせて吹いてしまいます。
トラッドだけではなく、アヴァンギャルドな音楽シーンにも出入りしていました。
オープンで誰にでも好かれる性格で、今ではニューオリンズの人気ミュージシャンとなっています。

ベースは、Greg Smith。
グレッグも、他の州の出身です。
アホで気のいい白人、というステレオタイプのイメージがピッタリの奴でした。
何も考えず、こだわらず、素直に演奏する。
彼はジャズに限らずオールジャンルで楽しく地道に演奏活動を続けています。


たぶん、ライブを始めて2〜3か月の内に、メンバーが固まったように記憶しています。
4管+3リズムの、7人編成のバンド。
New Orleans Moonshinersという名前で、いろんなバーや結婚式やパーティ演奏と、どんどんライブも増えていきました。

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