ブレずに続けてる人はすごいな

おととい、マチケンこと町田謙介さんと初手合わせをしました。
当日確認のみのセッション的ライブでしたが、なかなか見ごたえがあったかと思います。

マチケンさんは、声がすごい。
弾き語りでギターが上手い人はたまにいるけど、歌が突き抜けてる人は滅多にいません。
隣で吹いてて、うわー!って思う瞬間が何度もありました。
テンション上がります。

知り合う前は、なんとなく「ブルース界の偉い人」みたいな印象を持ってたんですけど、実は違う。
ブルースあんまりやらない。
ロック、ポップス、ラテン、トラッド、スイング、かなりの雑食です。
ジャンル分けの難しいタイプです。

本人は、漂流、根無し草、なんて言います。
ブルースだけやってれば、ある程度は安泰なわけですよ。
最初からシーンがあるわけだから、そこにいるお客を相手にやればいい。
そうじゃなくて独自の路線を進むっていうのは、いいこともあるだろうけど、大変なことも多いでしょう。
なにか「意思」みたいなものがないと、続かないんじゃないか。
すごいな。



先週は、W.C.カラスとのデュオでした。
カラスさんと2人でやるのは2回目。
これもほぼリハなしのライブ。
いい意味でルーズな部分が好きで、一緒にやるのが楽しい。

カラスさんが脚光を浴びたのは数年前、たしか50才くらいからです。
それまでは、富山で細々と、全国的にはそれこそ人知れず、というくらい地道にやってたそうです。
そうしてずーっと続けながら自分の表現を熟成させてきたんですね。

カラスさんも、マチケンさんと同じように、ブレない人の強さを感じます。
ブレずに自分の表現を追求してきたからこその強烈な個性に、それがいざ世に出た時、皆が驚き魅了されたんでしょう。
きっと、ブレイクしてなくても、同じように素晴らしい音楽をやり続けていたはずです。



その日は、三上寛さんと対バン(バンドじゃないけど)でした。
寛さんのライブは、独自の世界です。
ワン&オンリー。
たぶん他の人と一緒にやることはあまりないし、バンド編成でアルバムを作っても、寛さん自身の演奏は変わらない印象があります。

弾き語り形態だけど、弾き語りとは呼べない。
ポエトリー・リーディングに近いかも。
ギターの音作りなどサウンド面も含めて、コピー不能。
フォロワーと呼べる人がいないのも当然です。

これを、ずーっと追求してきたんですよねきっと。
もちろん、普通にギターを弾いて普通に歌うことも、できるのかもしれないけど、そうじゃない道を選んだ。
その果てに、上手い下手とか良い悪いとかいう基準じゃ測れない、よくわからない地点まで突き抜けてしまってる。
すごい、という言葉しかありません。



あがた森魚の新譜が出ました。
数曲参加しています。
あがたさんも、ブレずに独自の道を進んできた人です。
世界観、ボーカルスタイル、全部が独特。
フォークのようでロックのようで、実はどこにもカテゴライズ不可能な音楽です。
だから、あがたさんのファンには、普通の音楽好きとは違うタイプの人が多い。
誰とも違うポジションにいます。

もうすぐ70になるのに毎年アルバムを出してる。
アルバム出すたびに何万枚も売れて、っていうわけじゃ決してないわけだけど、それでも作り続けてる。
ヒット曲を出してたいわゆる売れてた時と、たぶん変わらないエネルギーで。
そして今でも、落ち着きとは無縁のぶっとんだライブをやっています。
いい意味でも、そしてたぶん良くない意味でも、周りの顔色をうかがうことなんてしないで、デビュー時から一貫して自分の世界を突き詰めることを続けているんですよね。
すごい人です。



長く続けている人の表現には、とても適わない何かがあります。
そして、続けている人は、ブレない人。
そういう人の、その人しかできない強い表現に、惹かれます。
そういう人と関われることを、幸運に思います。

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