2016年9月10日土曜日

N.O.生活16 - ハイレベルな学生たち

アメリカの大学には、いろんな学生がいます
ジャズ科は特にそうでした。
地元や近隣の州から来てるのは、だいたい半分くらい。
あとは、人種も年齢もバラバラです
留学生は少なかったですね。
ジャズ科全体でも4〜5人くらい。
僕以外では、韓国とブラジルから1人づつと、ヨーロッパから1〜2人しかいませんでした。


けっこう多いのが、ニューオリンズですでにミュージシャンとして活動していて、学位を取るために大学に入学する、というパターン。
演奏で稼げていても、やはり不安定なのには変わりありません。
定期収入を得るには、学校で音楽を教えるのが手っ取り早い。
教職を得るためには学位が必要なので、大学に通うんです。

彼らは、ライブやツアーの予定があって授業に出れないこともあります。
教授もそれを理解していて、最低限やることだけやってれば、ちゃんと卒業させてくれます。
そういうユルい大学だから、そういう学生が集まってくるんでしょう。
彼らのおかげで授業のレベルが上がって勉強になった面もありました。


ネイサンという、若くして音楽の世界に入り、高校もロクに通っていないベーシストがいました。
まだ20才くらいだったと思います。
その歳にしてすでに町で最も多忙なミュージシャンの1人でした。
最初、本人は大学に行く気なんてなかったみたいです。
大学に行けば、演奏活動の時間が減りますからね。
それでも、周りや家族に説得されて、ニューオリンズ大学に入学してきたんです。

気のいいヤツでしたが、本当に勉強が大変そうで。
そりゃあ、いままでやって来なかったんだから。
ジャズ科の授業でも、演奏はできるけど理論はちゃんと知らず、苦労してました。

ニューオリンズには、そういうミュージシャンが、いまだにいるんですよ。
いまでは世界的なプレイヤーの、トロイ・アンドリュース(トロンボーン・ショーティ)も、そうだったらしいです。
幼い頃から、周りのミュージシャンに可愛がられ、耳を頼りに演奏を楽しみながら音楽のスキルを身に着けていく。
そういう子供たちに譜面や理論を教える、 NOCCA(New Orleans Center for Creative Arts)という音楽やアートに特化した高校(?)があるくらいですからね。
NOCCA出身の地元のトップミュージシャンが母校で教えるケースも多いので、先生陣も恐ろしく充実している。
たぶん、NOCCAの音楽クラスのレベルは、日本の専門学校よりずっと高いと思います


まだ10代なのに、すでに楽器を完璧と思えるまでにマスターしている生徒も何人かいました。
テクニックだけではなく、耳もいいしアレンジもできる、文句なしにいいミュージシャンです。
実際に、授業の合間に一流ミュージシャンのバンドに加わってツアーやフェスに出ていました。
彼らは今まだ20代半ばだと思いますが、Youtubeのニューオリンズのミュージシャンの映像で、大御所のバンドで顔を見かけることも多いです。

アメリカのミュージシャンの、層の厚さを痛感しましたね。
ハタチであれだけ楽器を自在に操れるミュージシャンなんて、日本では見たことありません。
本当に、日本の一流ミュージシャンより上手いんじゃないか、ってくらいなんです。
しかもそれが何人もいる。

海外では、10代前半で有名バンドに入って〜みたいな話がよくあるじゃないですか。
◯◯は10歳ですでに楽器のテクニックをマスターしていた、とか。
それって、たぶんそこまで特殊なことじゃないんですよ、きっと。
みんな若手ミュージシャンをどんどん抜擢するし。
トップ・ミュージシャンのバンドに、ハタチそこそこの息子や孫みたいな年齢のメンバーがいるのは、ごく普通のことです。
特にニューオリンズは、その傾向があります。
若手を育てる、という意識がすごく強いんですよ。
日本にはないその空気が、ミュージシャンの層の厚さに繋がっているんだと思います。


そういう、これから間違いなくジャズ界のメンイストリームを歩き続けていくだろう、少なくともその資質はあるだろう、という若者と、席を並べていたわけです。
とても刺激になりました。
いろんな意味で。

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