2016年4月23日土曜日

Apple Music について考えた

Apple Music、いまのところ、気に入って使っています。
でも、懐疑的な声もありますよね。
音楽がダメになる、ミュージシャンが食えなくなる、とか。
ちょっと調べたけど、利益配分の計算とかすごくややこしくて、数字の苦手な僕はついていけませんでした。
そんな中で、去年のものですが面白い記事を見つけました。
対談:Apple Musicは正義か悪か。音楽はどう変わるのか?
音楽ライター4人がApple Musicについて議論していて、それぞれに考えが違って面白い。

まず、ミュージシャン本人に利益が還元されない、という意見。
ストリーミングはCDに比べて極端に利益率が低い。
ストリーミングで聞けたらCDなんて買わなくなるので、ミュージシャンは儲からない。
もうひとつ、音楽自体の単価が下がる、ということも言われています。
毎月の音楽にかける予算が、980円(Apple Musicの月額料金です)が基準になる、みたいなことでしょうか。

そういうケースもあるしれない。
でも、これって、いままで音楽にお金を落としてた人がみんな「音楽ファン」だと想定してるのが間違ってると思うんですよね。
音楽ファンって、実はそんなに多くない。
従来の音楽業界のやり方って、音楽をたいして好きじゃない人たちにまで、付加価値をつけてCDを売りつける、という商法だったんだと思います。
分かりやすい例だと、テレビドラマの主題歌タイアップ商法とか。
最近のAKB握手券商法も、いろいろ言われてるけど、付加価値で売るという発想は、従来の音楽業界のやり方の延長線上にあるんじゃないでしょうか。

それは、「音楽」を売っていたわけではない。
その強引で歪んだ商法が、もはや維持できなくなってる、ということなんじゃないでしょうか。
つまりたぶん、日本の「音楽」マーケットって、本当はもっともっと小さかったんですよ。
CDの、「音楽」の部分ではなくて「付加価値」を買っていた多くの人は、これからはYouTubeで無料で適当に音楽流して、たまに特定のミュージシャンの特定の曲を聞いておしまい、ってなっても不思議じゃない。


僕は、仕方ないことだと思っています。
だって、今までの売り方に無理があったんだから。
CDの売れる時代は終わった、って、もう普通に誰でも言ってるわけで、そこにすがっていてもダメでしょう。
ストリーミング以前には、リッピングやファイル交換が問題視されて、名前忘れたけどコピーガードCD作ったりしてたじゃないですか。今もあるのかな?
でも、あれなんか、レコード会社が客の主体性を無視して囲い込もうとしたもので、結果は業界不振に拍車をかけただけだった。
音楽のパッケージ、つまりハードっていうのは変わるもので、それに逆らって従来の利権を守ろうとしても意味ないんですよ。
レコードからCDにかけての、録音物を売って収益を得る時代は、終わろうとしてるのかもしれません。

それでも、ハードは変わっても、ソフトは変わらない。
いい音楽は、なくならないし、残るはず。
実際、欧米ではもうCDなんかぜんぜん売れてないけど、人々が音楽にお金を払わなくなったというわけじゃじない。
ライブには行くし、バーでいい演奏を聞けばチップをはずむし、いい音楽にはお金を落としますよ。
いわゆる「音楽ファン」ではなくても、心が動けば、対価としてお金を払います。
実際のいろんな構造とかビジネスモデルについては知らないけど、これは僕が海外にいて感じた感覚です。
それが音楽ファンであれば尚更、アルバムを買うだけじゃなくて、他のグッズや寄付や、わかりやすい例だとクラウド・ファウンディングとか、いろんな方法で好きなミュージシャンにお金を落としたい、と願うものです。

もちろん、日本では事情が違うのは分かっています。
欧米では、チップ文化が象徴するように、目に見えないものの対価としてお金を払う、ということが当たり前。
対して日本では、感動・敬意・感謝とその対価としてのお金、という図式があまりない、というか、お金と感動は反対語みたいな風潮すらあります。
その上、日本で音楽の地位は最底辺に置かれているわけで、一般の人までが音楽にお金を払うのはたぶん難しい。

でも、欧米ほどではなくても、音楽ファンはいるわけで。
そういう人は、音楽にお金を払い続けると思います。
音楽自体がよかったら、それに対して何か返したい、という気持ちは、音楽ファンにとっては善意のような自然なものです。
だから、Apple Music 使ってたって、それで音楽にお金を使わなくなることはあり得ません。
仮に今までのようにCDを買わないとしても、その分ライブに行ったりApple Music にないマイナーなインディーズの音源を買ったり、とにかく音楽にお金使いますよ。
だって、好きなんだから。

僕も、CDも買ってますよ。
まず、Apple Music はストリーミングなので、外でも聞きたいものは、購入します。
そして、それ以外の理由で買うこともあります。
例えば、少し前に、日本のバンドAlfred Beach Sandal のアルバムを買いました。
これ、Apple Music でも聞けます。
それなのになんで買ったかというと、アメリカの友人に聞かせたかったから。
Apple Music にあるから聞いてみて!と言ってもよかったのかもしれないけど、ファイルで直接送った方が聞いてもらえると思ったんです。
それにやっぱり、このバンドの音楽にお金を払いたかった。
素晴らしい音楽を作っていることに対する、敬意です。
ものすごい売れまくって稼ぎまくってるバンドじゃないのを知ってる、というのも、ありました。

買って持っていれば、ファイルで送ったりして何処の誰にでもに聞かせられる。
いいよ!聞いてみなよ!って言っても、知らないバンドのCDをそんな買ったり積極的に聞いてみたり、しないですよ。
でも聞かせてみれば、同じように思う人が増えるかもしれない。
相手がミュージシャンなら、そこから刺激されていい音楽が生まれるかもしれない。
その場でのアルバム売り上げにはならなくても、そのミュージシャンのファンやサポーターが増えるはずです。
音楽がいいなら、そういうことが起こるはずなんですよ。


て、これApple Music 流しながら書いてます。
ナッシュビルの大所帯バンドLambchopを聞いてるんですが、ちょうど聴き始めた"Mr.M"ってアルバム、いま1曲目だけど、ちょっと鳥肌立ちました。
このアルバムは確かJANISでもレンタルしてなかったと思うし、Apple Music がなければ聞かなかった。
Lambchopの音楽は知ってたけどファンというほどでもないので、今後も新譜を聞くことはなかったと思います。
でもApple Music でこうやって聞いてみたことで、急浮上です。
(あー2曲めもいい!)
実際、こうしてブログに書いてるし。
これで、Lambchopの名前を知る人もいると思いますよ。
その人がApple Musicやってれば、その場で聞けるじゃないですか、このマイナーなアメリカのインディーズ・バンドを。
これはすごいことだと思います。

そうやって、音楽を聞く人の裾野が広がっていくのは、素敵なことだと思います。
いい音楽に触れる機会が増えれば、音楽を好きになる人も増えるはずだし。
日本に音楽が根付かないのは、生演奏に触れる機会がないから、というのが一因だと思ってますが、それも含めて、いい音楽に触れたことのない人がまだまだ多いわけですよ。
町中で普通に多様な音楽が聞けるような国ではないんだから、Apple Music のような新しいサービスよって、いい音楽に出会う可能性が広がることは、前向きに捉えていいんじゃないでしょうか。
それが、長い目で見たら音楽文化の底上げにつながるんじゃないか、と思います。


つまり、音楽の価値が下がる、ミュージシャンが食えなくなる、っていうのはたぶん日本においてはその通りだと思います。
ただそれは、今までのような、音楽ファン以外までがお金を落としていた状態がむしろ異常だったのであって、音楽マーケットが適正規模に戻るということなんじゃないか。
マーケットの規模は縮小しても、より多様な音楽に触れる機会自体は増えるわけで、それによって少しづつ本当の音楽ファンが増える可能性も、あるんじゃないか。
というのが、僕の考えです。

まあ、僕自身、まだApple Music使い始めて日が浅いわけですが、とりあえず思うことを書いてみました。

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