N.O.生活(渡米前)10 - 大学合格から渡米までのこと

留学が決まって、まわりの人に報告しました。
まだ多くの人には言ってなかったんです。
そもそも音楽留学が目的ではなかったので、落ちたら渡米のために別の選択肢を考えたかもしれないので。

反応は、主に2つに分かれました。
まず、すごいね!というもの。
なぜか、音楽でアメリカの大学に行く、となった途端に、僕の評価が上がるんです。
一方で、いい年して何やってんの?と言われることもありました。
僕は30歳すぎてましたからね。
親不幸だろう、と言う人もいました。

素直に、よかったね!って言う人は、意外に少なかったです。
たしかに、クラシックやジャズの業界ではなくて、しかも30過ぎてマイナーな音楽大学に自費留学するって、珍しい。
珍しい行動への違和感が、色んな感情を動かすんでしょう。
びっくりした反射的な反応なんだと思います。
僕は自分のやりたいことをやってるだけなので、何を言われても気になりません。
ただ、ああこの人って実はこういう人なんだな、って残念に思ってしまうことはありました。


渡米までにやることといえば、荷物の整理くらいです。
僕は実家に荷物を預けるということをしたくなくて、持ち物はほとんど処分しました。
本は数冊残して、CDは全て、売ったりあげたりしてしまいました。
CDは、残しておけば良かったと今でも思います。
あれだけ買い揃えるのは簡単じゃないし、もう売ってないものも少なくないでしょうから。
音源はデータとして持ってるけど、どこか残念な気持ちがあります。

楽器も処分しました。
クラリネット、サックス、バスクラ、打楽器、弾けないのに買ったギター2本。
コーンのソプラノサックスもありました。
非常に状態のいい、極上品。
あれはまた吹きたいなー。

身の回りの品物をほとんど手放して、あとは必要な荷物をダンボールに詰めてアメリカに送ります。
これがまた高くて、数万円かかりました。
細かい所でいちいちお金がかかるんですよね。

ビザ申請に大使館に行ったときのことも忘れられません。
年配の白人男性が担当でした。
ニューオリンズに行くんだ、と言うと、急に態度がくだけて、俺はジャズが好きでこの前もマーカス・ミラーの来日公演を見に行ったんだ〜、とか話し始めます。

こういうこと、アメリカでもよくありました。
例えば空港の入国審査でも、ニューオリンズに行くと言うと、いいね〜!とか俺も行きたいよ!とか料理が美味いよな!とか、話しかけられることがよくありました。

ニューオリンズって、そういう場所なんです。
歌でもよく憧れの地として歌詞に出てくるし、映画「イージーライダー」の目的地もニューオリンズです。
そんな町に行けるなんて、なんてラッキーなんだろうか。


そんな風にして、留学決定から渡米するまでの間は、ワクワクしながらも淡々と過ごしました。
特別なことをした記憶はありません。
別に感傷的になったりもせず、普通にいました。
確かに大きな出来事ではありますが、何がどうなるかなんて、行ってみないと分かりませんからね。



これで、渡米前の話はおしまいです。
次回からは、ニューオリンズでの話に移りたいと思います。

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