2014年9月16日火曜日

Bulletproof Musician:気分が乗らない時の練習方法

Bulletproof Musician という英語のサイトの記事を、ランダムに翻訳するシリーズです。ミュージシャンのメンタル面に関する内容を扱っています。音楽をやっていない方でも、自己管理やマインドの問題に興味があるなら、是非ご一読下さい。

How to Get Yourself to Practice When You Don’t Feel Like It

http://www.bulletproofmusician.com/how-to-get-yourself-to-practice-when-you-dont-feel-like-it/


練習する気になれない日もあります。
そんな時は、何か他の作業をして練習を先延ばしにしがちです
最終的に、冷蔵庫の掃除やトイレの棚の整理がはかどるかもしれませんが、どこか煮え切らない感じが残るものです。

やる気がある時には、上達したい、曲を覚えたい、という気持ちが自然と湧いてくるので、何の問題もないのですが。

頭では、習慣化すればいい、と分かっています。
何も考えず実行するべき、と頭では分かってはいても、どうしても気分が乗らない日はあるものです。
今回は、そんな時に有効な、やる気を持ち直す方法を紹介しましょう。

それは、resumptive drive (やり直しによるエネルギー)と呼ばれるものです。
あるいは、「ツァイガルニク効果」とも言います。


ウェイターの記憶力

1927年のことです。
ブルーマ・ツァイガルニクは、レストランに座って、周りで忙しく働いているウェイター達を観察していました。
彼らは、どれだけ込み入った注文内容も忘れません。
何が運ばれて何が運ばれていないか、といった細かい部分まで、しっかり記憶しています。
しかし、いったん料理をテーブルに運んでしまうと(あるいは精算が済んだ時)、注文内容は記憶から消去されるようなのです。
ふと、考えました。
彼らは、覚える事柄を自ら選別しコントロールしているのではないか。

オフィスに戻り、彼女はひとつの結論を導き出しました(これが「ツァイガルニク効果」の由来です)。
完了した出来事よりも、未完の出来事の方が、記憶に残りやすい。
つまり、中断されたり完了できなかった事柄を、我々はより意識するものなのです。


実験

Texas Christian University & University of Rochesterの研究チームが、ツァイガルニク効果に関しての実験を行いました。
8分の制限時間で5つのパズルを解く、というものです。

参加者は、まずは練習として、3分間で最初の2つのパズルを解きます。

そして5分間で、残りの3つに取り組みます。

4番目のパズルは意図的に難しく作られていて、時間内に解くのは簡単ではありません。
実際、39人の参加者の中でこれを解けたのは6人だけでした。

8分経つと時間切れとなり、そこからさらに8分間、参加者は自由に過ごします。
ここで研究チームのメンバーは、忘れ物を取ってくるので5~10分かかる、と言って部屋から出て行きます。
その間、残された参加者がどんな行動を取るかを見るのです。

すると、部屋の中にはTV、雑誌、新聞などがあるにも関わらず、39人中28人(72%)がパズルの続きに戻ったのです。


中断による効果

面白いことに、続きに戻ったのは、4番目のパズルを解けなかった者がほとんどだったのです。

パズルを解いた6人の内、次の5番目のパズルに取りかかったのは1人(17%)だけでした(取り組んでいたのは1分18秒間のみ)。

4番目のパズルを解けなかった33人の内、続きに戻ったのは27人(82%)で、時間を平均すると2.5倍長く(3分20秒間)取り組んでいました。

課題の中断によって、もっと続けたいという気持ちが強化され、より長くモチベーションが持続するということが、この研究から分かったのです。


Take action

これを楽器の練習に当てはめる方法を、2つ挙げておきます。

まずは、始めてしまえば9割がた成功したも同然だ、という考え方(数字は適当なものですが、要点は伝わるでしょう)です。
これについては、誰しも経験があるでしょう。

皿洗いを考えてみてください。
流しに食器が山のように溜まっているとします。
それを全部洗わなくては、と思うと、なかなか取りかかれません。
しかし、とりあえず皿一枚だけ洗おう、と思って始めて、あとはそれを続けていけば、意外と簡単に最後までやれるものです。

音楽の場合であれば、1時間練習しよう、と思って始める代わりに、フレーズを10個練習しよう、曲をひとつ覚えよう、という風に考えるのです。
楽器のチューニングだけしよう、というのでも構いません。
スケールをゆっくり吹くだけでもいいでしょう。
タイマーを5分後にセットして、短いフレーズ一つだけに取り組む、というのもいいと思います。
5分経って続ける気が起きなければ練習を中断し、時間をおいて再開すればいいのです。

二つめは、、モチベーションがある場合の方法です。
練習したい!という気持ちがあるときには、あえて途中で練習を中断するのです。
例えば、非常に難しいフレーズに取り組んでいるとします。
練習方法が複数あったとしても、全部を試さず休憩後に残しておきます。
そうすることで、休憩明けのやる気も集中力も向上するはずです。


The one-sentence summary

“Do not wait to strike till the iron is hot; but make it hot by striking.”  William B. Sprague
鉄を叩くなら熱くなるまで待つな。自ら叩いて熱くしろ。


※この警句は一般的にはイェーツ(William Butler Yeats)のものだと言われてますが、実際はもっと古く、このWilliam B. Spragueという人物が元のようです。

※ツァイガルニク効果についてはこちらの説明が分かりやすいでしょう。
http://health.goo.ne.jp/mental/yougo/023.html

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