トムフィッシャーに会ってニューオリンズを思う

「トーマス・フィッシャーとニューオリンズジャズオールスターズ」のライブに行きました。
Thomas Fischer=トム・フィッシャー。ニューオリンズ大学での、僕の先生だったクラリネット奏者です。毎年夏に、バンドを率いて日本に来ます。でも、どうにも都合や事情があって、ようやく、たぶん6〜7年ぶりに、見に行けました。
バンドは、ボーカルも入った8人編成。
ニューオリンズ時代に一緒に演奏したミュージシャンもいます。

最高でした。
よく「本場」とか「本物」とか言うけれど、そうじゃなくて、日本で聴ける音楽とはぜんぜん種類がちがう。まったく別物です。
リズムやフレーズのように分析して譜面に書けることじゃなくて、もっと根本的なことです。
音楽に対する意識がちがいます。
だれも、「ちゃんと」演奏しようなんて思わずに、リラックスして、おもむくままに演奏している。
ステージ上の全員がハッピーで、だからもちろん見てる方もハッピーになる。
それはニューオリンズではごくごく当たり前のことなんですが、ああいう自由で解放された演奏を、残念ながら僕は日本で一度も見た ことがありません。

トムと久しぶりに話して、とても懐かしくてあたたかい。
この、ニューオリンズのあたたかさ、気取らない自由さを、僕は4年間むこうで過ごすうちに自分の中にしみこませて、今でもそれは残っています。どんな人とどんなフレーズをどんなリズムで演奏しても、僕の音の中にはニューオリンズのエッセンスがあるんだ、という自負を持っています。 
そのエッセンスは、これからも、消えることはないでしょう。

ジャンルとしてニューオリンズジャズを演奏する機会は多くないし、これから減る一方かもしれません。
でも、僕はニューオリンズの伝統的な音楽のミュージシャンだし、ずっとそうありたいと、あらためて思いました。




※トムについて書いた過去記事→『N.O.生活6 - 個人レッスン① Tom Fischer

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