ソウルミュージックを高級クラブでは聴きたくない

スティーブ・クロッパー&ウィリー・ハイタワー&ハイ・リズムセクションが来日するって!?これはすごい!見たい!
と思って調べてみると、会場は高級クラブのビルボードで、なんと11000円もするじゃないですか。
高い。この値段じゃあ即決はできない。

最近、ソウル系のマニア受けするミュージシャンが、頻繁に来日するようになりました。
会場はいつもビルボードで、安くてもだいたい8000円はします。
高すぎる。

8000円なんて、音楽を聞くには法外な値段だと思います。
東京ドームでストーンズやポール・マッカートニーを見るんなら、いいのかもしれない。ああいうのは、イベント的な要素もあると思うから。って、ドーム行ったことないけど。
でも、ブルースやソウルの、音楽マニアしか知らないようなミュージシャンの場合、ちょっと違うんじゃないか。

そもそもソウルミュージックって、上流階級のための音楽じゃなかったはず。
当時は、経済的・環境的に恵まれているとは言い難い人たち、高級クラブなんてとても行けないような人たちに向けて、歌われていた音楽です。
悲しみやどうしようもなさに、強烈に心が動かされる。
それを、高額なチケットを買ってハイソで上品な高級クラブで高い酒を飲みながら聴く、って、なんか変な気がしてしまうんです。

去年、ビルボードに、スペンサー・ウィギンズを見にいきました。
たしか8000円はしたと思います。
演奏は素晴らしかったし、音も良かったし、見やすいし、とてもいいショウでした。
でも、もし同じものを、もっと音楽愛に満ちたお店で体験できたとしたら、さらに素晴らしかったんじゃないだろうか。
ビルボードのような上品すぎる会場、たぶん店の経営者やスタッフは音楽ファンではないし、訪れるお客の多くは、おそらく音楽目当てじゃなくって仕事の社交場として利用してるであろう店では、「いいライブ」が「極上のライブ」になるくらいが限界です。
10000円も払うなら、その先がほしい。
演奏の質、といった、物理的な要素だけじゃあ、足りない。
場の空気や、集まった人たちや、演奏以外のいろんなサムシングエルスがピタっとはまって、マジックは起こる。
何にでも言えることだけど、物理的な「良し悪し」だけでは、さみしいよ。

というようなことをグルグルと考えて、やっぱり行くのはやめにしました。


【今日の1枚】
ソウル系のアルバムって、意外といいジャケットが少ないものです。
内容と関係ない美女の写真とか使っちゃったりするから。
そんな中でも、James Carr のこのジャケットは、素晴らしい。
歌も演奏も、もちろん最高です。
当時はまだシングル盤の時代で、何枚かシングルを出して曲があるていど溜まったらアルバムにする、というやり方でした。
これは、60年代中頃のシングルをまとめたアルバムです。名盤。



ソウル・バラードの名曲 "Darkend Of The Street" のオリジナル・バージョンが入っています。


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