2014年7月21日月曜日

残念だった映画「黄金のメロディ~マッスルショールズ」

黄金のメロディ~マッスルショールズ」を観てきました。
公開前から楽しみにしていた映画です。
水曜の1000円デイに行こうとしたら、なんと満席で入れなくて、あらためて数日後に出直しました。
水曜の時は開始1時間前に行って売り切れだったので、今回は2日前に映画館に行って指定席券を購入。
会場は多めに見積もって三分の一くらい埋まってたかな。
音楽好きっぽい客層でした。
1000円デイの効果ってすごいんだなーと思いながら、長い予告編の間も期待が膨らんでいきます。
導入部、「ダンス天国」をバックに、カメラがミキサーやアンプの真空管をアップでなめていく。
かっこいい!

2時間後。

結論・・・面白くなかった。
残念でした。

とにかく演出が酷い。

演出っていっても、なんか映画的なこととかそういうマニアックな話じゃないです。
とにかく全編に渡って、アメリカの下らない番組中に流れる三流再現ドラマみたいな、笑っちゃうくらいのベタでダサい感じが続きます。

まず、街の撮り方が美しすぎる。

綿花畑とかテネシー川とか、もうラッセンのイルカの絵に匹敵する綺麗さ。
リアリティゼロ。
通りで縄跳びしたり歩いてくる子供を、なぜかスローモーションで使ったり、ほどほどにヨボヨボのおじいさんを映してみたり。
そんなわけないだろ。
そんな美化されたもの見たくありません。
僕は同じ南部のニューオリンズにいました。
美しい光景はいくらでもあります。
それを美しく撮れば、絵葉書みたいなウソみたいな絵になることもわかります。
でも、それは一面でしかない。
綺麗なものを表面だけ綺麗に撮って提出するやり方は、僕は嫌いです。
本質のない、ウソだから。

インディアンの聖地ぽい場所に近づいてゆくシーンでは、怪談番組とかでありそうな、宙を浮いて進む視点ショット。

音楽はもちろん意味深な大太鼓。
「そして時が経って~」みたいなナレーションの時は、なんと青空が早回しになりましたよ。
ずっとこの調子。
家で突っ込みながら見るのはいいかもしれないけど、映画館で真面目にみるのはけっこうしんどいです。

別に映画的に最高の演出を期待してたんじゃないけど、いくらなんでも節度があるだろう、と。

そもそも映画の題材がサザン・ソウルですよ?マッスルショールズですよ?
TV的な感性とは対極の、リアルで実直な音楽。
それを扱うのに、この不誠実な演出はおかしい。
でも、まあ悪意はないはず。
アホなセンスないアメリカ人の仕業だから仕方ない。
音楽映画だし。
ドキュメンタリーだし。
内容が良ければそれでいいや。


と、言いたいところですが、内容も良くなかったです。

僕はもともとサザンソウルが好きで、いっぱい聴いてるし、本も読んでます。
この映画にも、新しい発見があったり、音楽の現場や空気感がわかったり、期待していたわけです。
でもその期待は裏切られました。
ひとつも発見はありませんでした。
それどころか、マッスルショールズという題材を描くには、抜け落ちてる部分が多すぎる。
基本的に、リック・ホールとスワンパーズしか描かれてません。
クイン・アイヴィーもチップスモーマンも出てこないし、フェイム・ギャング、ボビー・ウォーマック、トム・スタッフォード等は、名前が一度出てくるくらいです。
人物を掘り下げる、というわけでもない。
ただリック・ホールへのインタビューを流すだけです。
ほとんどの内容は、すでに知ってること。
リックホールと同じくらいジミー・ジョンソンが語りますが、なぜかレナードスキナードの話が多い。
どっちの話も、そして他のスワンパーズのメンバーの話も、まあ面白いですよ。
あの時こう思った、とか、幼少の思い出、とか。
でも、とにかく発見はありません。

音楽的なシーンも少ない。

それぞれにレコーディングの思い出とか語りますが、名著「スイート・ソウル・ミュージック」で語ってることとほぼ同じ内容です。
ギュラルニックの取材映像があって、それを流用してるのでは、と思わせるほどです。
最後のほうに、アリシア・キーズがフェイム・スタジオでレコーディングするシーンがありますが、それもレコーディング風景PVみたいです。
ギターのヘッドを後ろからかっこよく撮ったりしなくていいから、もっと音楽的なやり取りや空気感を映して欲しかった。
アリシア・キーズにはいい宣伝になったでしょうけど。


良かった点は、好きな曲を映画館のいい音響で聴けたことと、ほぼ活字でしか知らなかったミュージシャンの映像を見れたことですね。

実際、語る姿を見ることで、ミュージシャンに対する印象が変わりました。
リック・ホールのことが大好きになりました。
とても音楽を愛する、誠実な人なんだな、と思ました。
誤解を恐れずに言えば、ジミー・ジョンソン達ミュージシャンよりも、よっぽど音楽を大事にしてるな、と思いました。
フェイムの音、僕を感動させた音は、リック・ホールが作ったんだな、と実感しました。
これは、発見と言えるかも。


とにかく、すべてが表面的・概観的です。

「自然の豊かな田舎町にマジックを産むスタジオがあった。スターが訪れてヒット曲が生まれた。確執もあった。ボスのリック・ホールの生い立ちは不幸だった。」
内容はこれだけです。
マジックの産まれた理由や周囲の環境を掘り下げることはしていません。
なので、マッスル・ショールズについて理解を深めたいという考えの人には勧めません。
僕がそうでした。
かといって、ぜんぜん知識のない人にマッスル・ショールズの全体像を紹介するにも不十分です。

それでも、この映画にお客が入ることで、こうしたジャンルの映画がこれからも輸入されてくるかもしれません。

なので、寄付のつもりで見にいけばいいと思います。
変に期待せずに行けば、がっかりすることもないですし。
題材が題材ですから、それなりに楽しめると思います。
あと、エンドロールもちゃんと見たほうがいいです。
いいシーンが挟まれてるので。
リックホールの最後の言葉は、素晴らしいです。

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