冨永くん、いいね!

ペーソスのサックス奏者、末井昭の『素敵なダイナマイトスキャンダル』が映画化され、来年3月に公開されます。
末井さんは、サックスもすごいけど、いろんな意味ですごい人なんです。試しにググってみてください。
すごい人の半生を描いた作品なので、すごい映画になっています。

映画の公開に合わせて、ペーソスも新譜を出す予定です。
なんたって、豪華キャストの全国公開。
メンバーも出演してて、島本さんなんておいしい役でだいぶ目立ってます。
アルバム出すのに、こんないいタイミングはないでしょう。
乞うご期待!

で、前も書いたけど、この映画の監督が、ハタチ頃につるんでた、冨永昌敬。
同い年の旧友ということで、なんでも遠慮なく話せる。
映画もペーソスも盛り上げようぜ!
ということで、酒が進みます。
真っ当な人が聞いたらバカバカしく思えるようなアイデアが、どんどん出てくる。
こういうの、会社だと、ブレインストーミングなんて言うんですかね。
まあ酒の席の与太話とも言う。
与太話に終わらせないためには、それを具体化してくスピード感が勝負です。
冨永は、それが分かってる。
だから、楽しくて、どんどんアイデアが湧きます。

冨永とつるんでた頃、僕は大学を辞めて実家を出て、芝居やアングラパフォーマンスの映像を撮ってました。
カメラも回したけど、交渉やら手配やら、わりと営業的なことをやってたんです。 
ていうのは、二人だけで作ってて、パートナーは職業映画人だったから。
映像の技術も経験もない僕が、必然的に雑用担当になったわけです。

ビデオのパッケージデザインまでやりました。
って、僕がデザインしたんじゃなくて。
デザイナーを探して、一緒に特殊素材パッケージを考えて、紙を仕入れて、劇団の女の子を大量動員して作業して。
印刷所も見つけてきて安くお願いして、でもお金を出してる大元の会社の支払いが滞って、謝りに行ったり。

そういえば、その時お願いしたデザイナーは、後に有名になって、作品がMOMAに収蔵されているらしい。
冨永も映画監督になった。
僕は覚えてないけど、あいつをカメラマンとして駆り出して、撮った映像をボロクソに言ったりしてたらしい。
冨永といた頃が青春だったのかもしれない。
なつかしい。

なつかしいエピソードを、冨永はよく覚えてる。
昔もこんなことやってたよなー、って言う。
楽しくて、うれしい。
実際、ペーソスとは別の企画で、CDの特殊ジャケットについて調べてて、ちょうど先週、見積もりを取るためにサンプルを台湾に送ったところだし。
やってること、本当に同じじゃん。
あの頃から20年近くも経って、お互い変に大人にならずやれてるなんて、いいね。


と、ここまで書いて、今日は冨永の新作を観てきました。
『南瓜とマヨネーズ』って映画が、昨日から公開されてるんです。
なんと、半年に一本!すごい!
原作のマンガは、それこそ、僕が映像やってた頃に一部でブームだった、魚喃キリコ。
この作品は読んでなくて、原作と比較することなく観れました。

いい映画でした。
音楽志望のダメ男を食わせるダメ女の話。
世間からダメとされる若者を、ダメじゃなく描く。
かなり丁寧で地味な、いわゆる佳作・良作と評されるタイプの映画です。
かといって、佳作系邦画にありがちな象徴的な描写が少ないのが、いい。
こういう「いい映画」って、邦画では珍しいと思います。
あと短いのも、いいね。
映画って90分くらいがいいと、個人的には思ってるんで。

人生変わるほどの感動はないかもしれないけど、っていうかそういうタイプの映画じゃないけど、観て損ない映画です。
人に優しくなれるかも。
是非どうぞ。




南瓜とマヨネーズ HP

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