2017年8月7日月曜日

路上で円盤を演奏する男

銀座を歩いてたら、わき道に、変わった楽器を演奏する男がいました。
スチールパンにフタをしたような円盤みたいな形の、大きな銅色の鍋のような楽器。
ぽよんぽよんと、不思議な音です。
日本人にしては大柄で、放浪の旅の途中のようなヒゲ面が、いかにも楽器に似合ってる。
罪のなさそうな通行人が数人、足を止めているのを、通り過ぎました。

あの楽器はなんなのか。
誰もがそう思うでしょう。
僕だって、余裕があれば立ち止まってたかもしれない。
でもそれは物珍しさ。
音楽に気を引かれるのじゃない。
それが楽器じゃなくたって、演奏してなくたって、見慣れないものには気が奪われる、というだけのことです。

演奏がよくなかった、というんじゃありません。
もしかしたら、彼はあの楽器の名手で、世界トップレベルの演奏が行われているのかもしれない。
でも、それがいいのか悪いのか、ちゃんと聞かないとわからないわけだけど、なんといっても馴染みのない音楽だから、一聴して足を止めることはまず起こりにくい。
そもそも、世界一流の演奏家が路上で演奏してみたら誰も立ち止まらなかった、っていう実験も、何度も行われています。
よっぽどキャッチーな演奏じゃないと。
でもたぶん楽器の性質上、そういうのは向いてなさそうだし。

彼自身は、どう思ってるのか。
音楽をやってるけど、人が集まるのは、その内容よりも物珍しさ。
たぶん、素晴らしい演奏でした!ってよりも、それ何て楽器ですか?っていう声の方が多いでしょう。 
演奏を聴いてもらえない、っていうジレンマは、ないのかな。
楽器を見せびらかしたいなら、それでオッケーなんだろうけど。

そもそも、なんで路上で演奏してるのか。
それも暑い中、わざわざ銀座なんて遠いだろうに。
物珍しさから人が足を止めるということが分かってて、注目されたくてやってるのか。
おごってもらったり、ナンパ目的なのか。
それとも、あの楽器では一緒に演奏できる人や場所がなくて、仕方なく路上にいるのか。 
不特定多数の目にさらされることで、修行のつもりなのか。

1時間くらいしてまた通ったら、男はいませんでした。
あの楽器は、宇宙と交信する道具で、あそこがそういう地点で、そっちの世界に行ってしまったのかもしれない。
あるいは、暑さで蒸発してしまったのかもしれない。

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