2017年7月8日土曜日

『ザ・レジデンツ・ムービー / Theory of Obscurity』


レジデンツのドキュメンタリー映画を見てきました。

1970年代から活動する、アメリカの前衛ポップバンド。
目玉とシルクハットのかぶりもので顔を隠し、匿名のままで40年以上も活動している。
ポップさと実験性と批評精神が絶妙のバランスで同居する、偉大な4人組です。
でも、意外に日本では知られていない。
まわりのミュージシャンに話してみても、ほとんど誰も知らない。
まあバンドではあるけれども、アートやサブカルチャー界隈での方が有名なんでしょう。
実際、映画を見て知ったんだけど、全作品がニューヨーク近代美術館に収蔵されているそうです。
しかもこんな感じで、冷蔵庫の中に。


僕も正直、ものすごい大ファンというわけではありません。
初期〜中期の作品は聞いてるけど、ぜんぶ好きなわけじゃないし、そもそも日常的に聞くような内容でもないし、あんまり聞きこんでるとはいえない。
よく聞いていたのは、20代の頃です。
国内盤のアルバム解説を読みながら、音楽だけじゃなくて、そのセンスというか活動全般を、かっこいいなと思っていました。
でも、あんまり資料がなかったんですよ。
当時はまだネットも普及してなくて、レジデンツを知ってる友達もあまりいなかった。
少なくとも、音楽友達にはいなくて、僕はひとりでオタク的に買い集めて追求するタイプじゃないので、なんとなく宙ぶらりのまま、気になるバンドのひとつとしてずっとありました。


映画は、レジデンツの歴史をまとめた、わかりやすい内容でした。
やはり、音楽よりも、アートとしての側面が強いバンドなんですね。
ライブも、かなり演劇的な要素が強いみたい。
世界中に熱狂的ファンがいるけれども、それでも経済的に難しかった時期もあるようです。
本人たちは作ることしか興味がなく「売る」考えがなかった、とか、どこまで本当なのか。

デビューアルバムに参加した鍵盤奏者が、はじめて一緒に録音したときのこと。
その場で曲を作り、コードをつけようとしたら、普通のコードを弾くと嫌がられ、オリジナルのコードを考えろ、みたいなことを強く言われたそうです。
うーん、考えさせられます。
レジデンツの初期のアルバムは、楽器の選択からして、普通じゃありません。
というか、どうやって作られたのか知らないけれど、そもそも楽器を弾いて曲を演奏する、というやり方では、たぶんない。

映画の中で何人もがレジデンツに影響受けた、と語る中で、楽器が上手くなくても音楽をやっていいんだと教えてくれた、と言います。
たしかにレジデンツの音楽は、バンド・グルーヴといったこととは無縁。
だから、ミュージシャンには受けないんでしょう。
それよりも、子供がものを叩いて喜ぶような自由さ、音楽の根源的な楽しさのようなものを、思い出させてくれる。
初期衝動、とかね。
パンクの元祖、なんて言う人もいる。

僕がレジデンツに惹かれるのも、音楽以外の部分が大きい。
ブレない独自の価値観と活動姿勢。
なんといっても、ビジュアルが素晴らしい。
目玉のかぶりものは、実はビジュアルイメージの必要性から考えられたもので、本人たちは最初は気に入っていなかったそうですが。
音楽だけではなく、いろんな要素を総動員して、レジデンツという世界をトータルで作り上げている。
匿名での活動、ということも含めて、こんな風に続いているバンドは、他にいません。


僕も音楽をやっていて、もちろん楽器を演奏するんだけれど、それだけじゃなくてビジュアルやらステージングやら名前やら世界観やら、いろんなことに興味がある。
演奏のことだけ考えてるのは、好きじゃない。
それはもしかしたら、若い頃にレジデンツに出会って影響を受けた部分もあるのかもしれません。
あとボンゾ・ドッグ・バンドとか。


それにしても、音楽ドキュメンタリーって、どうして作り手のエゴ丸出しの、まったく意味のないダサい演出があるのか。
インタビューの映像にエフェクトかけてみたり、ライブ映像だって、かっこいいアングルで撮ってばっかりで全体が映らないから、どんなステージなのかちっとも分からない。
被写体を掘り下げてどう見せるか、っていう考えが、ないんだろうな。
音楽ドキュメンタリー撮る人で、いい監督って、いないんだろうか。
映画も好きな身としては、いつも不満です。
そして、邦題の『めだまろん』って、どうなんだろう。

とはいえ、レジデンツはとにかく魅力的で、劇中で紹介されるPV的な映像作品もどれも最高なので、楽しめる映画だと思います。
青山のイメージ・フォーラムで上映中です。


映画のHP。
めだまろん/ザ・レジデンツ・ムービー
予告編が見れます。


ダンス天国のカバーぽい曲
(曲は43秒から。後半3分すぎからの映像がかっこいい。)

ジェームズ・ブラウンのカバー
(2:30くらいからメンバーが登場します)



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