オンダトロピカ『Baile Bucanero』!いいね!

Ondatropicaの2ndアルバム『Baile Bucanero』を聴きました。
いやーこれいいね!


1stもよかったけど、あれは「上出来なラテンアルバム」の範疇を超えていない。
ていうか、世の95%くらいのラテンものって、どこを切ってもラテンのボキャブラリーしかなくって、傑作!とか言われてるものでも、ラテン門外漢の僕にはそれぞれの細かい差異を比較検討して聴く楽しみはないので、どれもこれも「上出来なラテンアルバム」でしかなくって、他のポピュラー音楽と比較にもならない。
つまり、どれだけ演奏が素晴らしくても、ワクワクする刺激がないんですよ。
なんて言うと、ラテンのボキャブラリーなんて偉そうに言いやがってこの野郎なんにも分かってないくせに!って怒られるかもしれないけど、そもそも知識や経験がないと良さがわからない音楽って、それどうなのよ?って思います。
というわけで、ラテン音楽にはいつでも物足りなさを、感じるんです。
ちなみにこれは「ジャズ」にも言えることです。

このアルバムは、いいね!
何がちがうのか。
わからない。
わからないけど、例えばタジ・マハール「Music Fa Ya」やオル・ダラの1stを聴いたときみたいに心が踊ります。
ただの「ラテンアルバム」ではない。
聴き終えてすぐ、またはじめからリピートしたくらいです。

このオンダトロピカは、ニューヨークのマルチ・ミュージシャンWill Holland("Quantic")が、コロンビアのマリオ・ガレアーノ(Frente Cumbieroのリーダー)と組んではじめたユニット。
ウィル・ホランドはジャズやソウルやレゲエやいろんな音楽やってて、そのうち数年間コロンビアに住んで、今ではラテン音楽新潮流のキーパーソンとしての地位を確立しています。
でも、彼のこれまでの作品はどうも好みじゃなかった。
今っぽいクラブっぽい、スムーズで洗練された色付けが常にあって、そういうのに興味がない僕にはぜんぜんグッとこない。
DJ受けするとかいう事情もあるのかわかんないけど、ネオ・ソウルにも通じるようなオシャレ感が余計なんですよ。
好きで何度も聴いたのは、オーセンティックなサウンドのクンビア・アルバム『Los Miticos Del Mitro』だけです。

だから、みんなウィル・ホランド=クアンティックを絶賛するけど、僕はべつにそんな興味なかったし、このアルバムも、とりあえずチェックしとくかーってくらいで特に期待してませんでした。
聴いてみたら、良くってビックリ!
オシャレな味付けもなく、音の質感もいい。
相方がコロンビア人だし、現地のベテラン・ミュージシャンをたくさん起用してるのも、影響してるのかな。
前作みたいな、再現・保存・再解釈、というようなスタンスが今回は感じられないのが素晴らしい。
いいなーこんな人たちと、一緒にやってみたいなー。

これは、心ある二人のミュージシャンが作り上げた、新しい音楽。
ラテンどっぷりでは届かない、新鮮さがあります。
僕のような、欧米のポピュラーミュージック&黒人音楽を聞いてきた音楽ファンにもアピールするでしょう。
大推薦です!






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