『マーク・リボー&デビッド・イダルゴ』!!

マーク・リボー&デビッド・イダルゴのライブにいってきた。
とてもよかった。
お互い1曲づつ交代で歌うんだけど、曲もその場で決めてるような、ゆるいライブ。
演奏しながら曲を探ってたり、どうやって終わろうか考えながら目を見合わせてる。
主催の麻田さんが開演前の挨拶で、「往年のロックスターが年老いて場末のバーで演奏してるような〜」みたいなことを言ってたけど、まさにそんな感じでした。
もちろん、ほめ言葉です。
あんな風に気負わずに自由にライブやれたらいいなー楽しそうだなー。
そして、こんなラフで生き生きした演奏を楽しめるお客さんが、クアトロ満員になるくらいいるってことは、東京の音楽ファンも捨てたもんじゃないと思いました。


マーク・リボーを知ったのはたぶんトム・ウェイツの『レインドッグ』です。
調子っぱずれのようにも聞こえる、キャプテン・ビーフハートを連想させるような、素晴らしく個性的なギター。
それ以来、好きなギタリストと聞かれるたびに名前をあげていたくらい。
昨日のライブではいろんなスタイルの曲をやったので、ギタリストとしてのすごさがあらためて実感できました。
音楽を、メチャクチャ聞いて研究してる人なんだろうな。
どんな曲調でも、ちゃんとそのジャンルの背景というか伝統というか、ツボを押さえた演奏をする。
けっして奇をてらったことはしないのに、強烈に個性的。
なんなんだろう。
音色なのか、発音なのか、タイミングなのか。
ジャズの語法で乗り切る「上手い」ミュージシャンとは、ぜんぜん違います。

そして、デビッド・イダルゴを見れたことが、単純にうれしかった。
ロス・ロボスは、グレイトフル・デッド、NRBQと並ぶ、大好きなバンドのひとつなんです。
でも、ライブがすごい!って評判はさんざん聞いてたのに、何度か来日してるのに、見に行ったことないんですよ。
今回はバンドじゃないけど、はじめて見た、デビッド・イダルゴ。
ギターのフレーズもいちいちカッコいいし、歌もすごくよかった。
ロス・ロボスって、ボーカルがすごくいいと思ったことは、実はないんです。
それが、実際に見ると違うもんですね。
とってもいいミュージシャンだという、分かりきったことを、生で見て実感しました。

驚いたのは、『ラテン・プレイボーイズ』から2曲も演奏したこと。
あれって、楽曲や演奏だけじゃない、サウンドも含めての作品と思っていたので、まさか弾き語りのライブでやるとは。
大々好きで何度も何度も聴いたアルバムですからね、そりゃ興奮しましたよ。
しかも、ライブの一曲目が "Manifold De Amour" だったんですが、イダルゴが弾くのは、なんとチェロ!
その一曲のためにチェロを用意していて、しかも決してチェロプレイヤーとして達者なわけでもなくて、それがライブのオープニング・ナンバーだなんて。
その気負いのないスタンスが、素敵です。


2人とも、上手く演奏する、とか、ミスをしない、とか、そんなレベルにはもはやいないんですよね。
キャリアのあるミュージシャンだし、もっと「上質」な演奏だって、できたでしょう。
でも、音楽って、そういうことじゃない。
人生を語る、言葉のない会話のようなもの。
それができるミュージシャンて、本当にあこがれます。
演奏のはしばしから二人の体験してきた音楽の歴史が聴こえてきて、さらにそれを共有できるお客さんがいて、とても幸福なライブだったと思います。
本当は、もっとカジュアルなお店で見るのがいいんだろうけど、まあ来日ということでは仕方ないですよね。

素晴らしいライブでした。
二人を呼んでくれたトムズ・キャビン、麻田さん、ありがとうございました!

(写真はTom's Cabinより)

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