コロナ無情

夜20時以降、ほとんどの飲食店が営業を停止している。
飲食以外の店も、時間短縮して夕方で閉めているところが多い。
デパートも映画館もやってない。
開いてるのはコンビニと、あとはスーパーとチェーン店くらいだろうか。
夜は暗く静かだ。
一人歩きが怖くなる人だっているだろう。

この状態が、とりあえずGW明けまで続く。
なんてこった!と思ったけど、家で過ごすことにはさすがに慣れてきた。
慣れないのは、連日飛び込んでくる、馴染みの飲食店の悲鳴。
どの店も2月〜3月からお客が減り、売り上げは半分以下。8割9割減、という話も聞く。僕が通うのは個人店が多いから、そんな状態が数ヶ月も続けば、潰れる店だってあるかもしれない。
飲食店だけじゃなくていわゆるライブハウスやあるいは映画館も、「自粛要請」という、明らかに日本語としておかしい新用語の圧力によって、営業を停止してる。
もちろん、家賃など固定費は「自粛」してくれない。

ミュージシャンは、生きてさえいればまたいつでも演奏できる。
でもお店は、そうはいかない。
一度なくなってしまったら、また始めることは、かなり難しいだろう。
少しでも力になれたらいいけれど、正直言って自分の生活も危うくって、なかなか金銭的な余裕がない。見てるしか、できない。
自分のことならなんとか気持ちを消化できるのに、好きな人の悲鳴を毎日聞くのって、そして何もできないのって、なんてつらいのか。
こんなに泣きたくなって落ち込むのは、生まれてはじめてだ。


欧米では、もはや社会機能が停止してたりする。
アメリカにいた頃に通った店で、コロナの影響で廃業してしまったところもある。
海外の友達の話を聞いてると、1年以上もこの状態が続くんじゃないかと心配している。
of Tropique は海外で活動することを視野にいれていたけど、もう無理だろう。少なくとも、ここ1〜2年は。
はてさて、困った。
僕はずっと演奏家としてやってきたけど、もはや誰かと一緒に演奏すること自体、特別な行為になるかもしれない。
ほんと、困った。
音楽は、どうなるんだろう。
今までとは、まったく様子が変わってしまうに違いない。


1週間くらい前か、友達と電話をして、それでずいぶんと気持ちが楽になったし、自粛期間におたがい何か作って報告しあおうとなって、救われた気がした。
時間を見つけていろんなお店に顔を出してみると、知った顔を見るだけでなんだか感動してしまう。
ちょっとした街の風景に、心が動く。
冬にあたたかさが身に沁みるように、いままで当たり前だったことが、心に響いてくる。

コロナが、すぐに終息するわけない。
ひとつのお店も、なくなってほしくない。
祈りながら、曲を作ったりしてる。
そうしてなんとか、できることをやるしかない。


コメント