コロナが来た。大阪に行った。

月イチくらいで音楽に関係した内容で軽妙洒脱な読み物的なブログを書いていこうと思った矢先に、コロナです。さすがに笑ってられなくなってきました。
ミュージシャンやお店は政府から名指しで悪者扱いされ、もはやライブをやるのに言い訳しなきゃいけない、というかもはやライブやるのは悪、というくらいの状況です。
ライブだけじゃなくってレコーディングとかもキャンセル続きで、誰かと会うたびに、お前は大丈夫か?という会話になる。大丈夫?っていうのは、経済的なことです。
そして、大丈夫!と笑って言える人はたぶんいない。少なくとも僕のまわりには。

三月末、東京都知事が都民に「自粛要請」を出したまさにその週末に、関西へ向かいました。前から決まっていた大阪のライブと、それに合わせて神戸と高松の友人に会うために。
向こうで会った中にも、コロナショックで仕事がなくなって生活ヤバイよ〜!と嘆くミュージシャンもいたし、個人店の話を聞いても、潰れるかも〜!って冗談めかして言うけどそれはもう冗談ではないことをみんな知っていてそれでも笑うしかないという、シュールであってほのかに幸せを感じるような状況下で「決行」したライブ。
場所はドヤ街として名を馳せる西成にある、釜晴れというお店。カラオケをバックに演歌・歌謡曲を吹くという初めての試みです。
自分でも上手くいくか分からない、ある意味で実験的なライブに、しかも異郷の地で僕のこともよく知らないだろうに、お客さんが来てくれる。なんてありがたい。
みんな喜んでくれて、打ち上げまであったかく楽しくて。このあったかさがあるから、僕は大阪に行ったんですよね。
来てくれてありがとう、ライブやってくれてありがとう、なんて言ってくれる。自粛ムードで家でおとなしくすることが増えて、それで感染の危険は減ってもストレスが溜まるわけで、たまにライブに来ることで心が軽くなるんですよね、きっとみんな。
もちろんやる方だっておんなじで、お客さんが喜んでくれたらすごく救われます。
ライブの内容も良かったと思うし、いろんな意味で忘れられない夜になりました。

この日、リハーサルで早めにお店に着いたとき、カオリーニョ藤原さんがいて、久しぶり!って手を差し出してきました。
握手。
いま握手すらはばかられるような状況で、こんな些細なことがとても嬉しい。この握手でコロナがうつって死んでもいい、って思うくらい。
いやもちろんそれは嫌なんだけど、人と会ったり触れ合ったりって、そのくらい大きな喜びなんだと実感しました。
この人たちとこのお店が好きだから、僕はまた大阪に行くでしょう。

東京に戻って1週間経って、いまは緊急事態宣言なるものが出るか出ないか、という状況です。
日に日に高まる閉塞感。マイノリティーに対する差別感情が増幅していく空気。
と落ち込んでると、窓越しに演歌が聞こえてきました。
隣の家の一人暮らしのおじいさんが、演歌を流しながら庭いじりをしているんです。
いつものように。
いつも、が続く安心感。
来月も再来月も、みんな無事でいて欲しい。
そしてまた、東京でも大阪でも同じお店で同じメンツで演奏したいな。



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