ライブ中に楽器が壊れて落ち込んだ

昨晩のライブ中に、クラリネットがこわれました。
なんと、キイが折れたんです。


3ステージあるライブの、最初のステージで、なんだかアクションが悪いのに気づいて見てみると、キイが曲がっているんです。演奏に支障があるので手で曲げて戻してみるけど、しばらくするとまた曲がってしまう。その繰り返しです。
休憩時間に楽器を分解してキイを外すと、案の定、亀裂が入っています。とりあえず応急処置として、セロテープでキイをグルグル巻いて固定して、次のステージはなんとか乗り切ったけど、不安で仕方ありません。
そして第3ステージの途中で、しかもソロを取っている最中に、ついにキイが折れました。
演奏の続く中、セロテープでトーンホールを塞いで、って、ああ、書いてるだけでその時の気分が蘇ってきて、落ち込んでしまう。
塞いでしまったので穴の開閉ができないから特定の音が出ない、という状態で、ライブなのでそれもまあネタにしつつ、最後まで演奏を終えました。

自分でも驚くほど落ち込んでいたけれど、そのあと別の店に寄る約束があって、行ったらセッションになっていて、請われるままに楽器を出して、予想以上にぜんぜんまともに吹けずに、さらに落ち込む、という。

運悪く、翌日はいつも出しているリペア店が休みで、でも夜はライブで、しかもそれはトリオ演奏でフロントは僕だけだから、ほとんど吹きっぱなしになるはず。なんとか吹ける状態にしないといけません。
とりあえず自分で接着剤で応急処置か。いやでも接着剤で止めてしまったら、そのあとちゃんと直すときに面倒かもしれないし、まずはどこかのリペア店に相談してみた方がいいだろう。
僕の楽器は特殊だから、普通の店では対応してくれないだろうし、どこに聞けばいいのか。
一晩寝ても心配は募るばかりで、気持ちを鎮めるためにこうして書いています。


90年前の楽器で、キイの金属疲労もすごいしあちこちボロボロだから、こうした事故がいつ起こっても仕方がないんだけど、いざ起こってみると、予想以上にこたえるもんです。
でも考えてみたら、たぶん昔の、それこそ90年前のミュージシャンたちは、けっこうボロボロに楽器を使っていたんじゃないかな。こうしたトラブルを抱えながら、少しくらい出ない音があっても気にせずに、日々の演奏をこなしていたんじゃないだろうか。こわれたからって、相談できるリペア店がいくつも近場にあるなんていう環境とは程遠かっただろうし。
いまでもニューオリンズでは、少なくとも僕が住んでいた10年前には、リペア店なんて皆無だし、まともなリペアマンは町にひとりもいなくって、どこかしら調子の悪い楽器を使っていても、それは珍しいことではありませんでした。
そう考えると、僕なんてまだマシなはず、って、そんなふうに考えてみても、不安はあんまり消えないんですけどね。
意外にもこのトラブルを楽しめていない自分を発見して、まだまだ青いな、と痛感しています。

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