大阪には通わないと

 5月に続いてまたしても10日間、大坂に行ってきました。今回も、毎日違う内容のライブをやりました。
山田やーそさんとショーロ、キチュウさんとサザンソウル、木村おうじさん、そして神戸では黄啓傑&小林創さんとニューオリンズジャズ、松原里佳さん、上山実くんとデュオ。ソロでは、カラオケをバックにしたムード歌謡と、ルーパーを使った自作曲と。
大坂は、最初にソロで行った時の印象から変わりません。とても人間味があって、大好きです。東京はもう長年住んでるしとても快適だけど、人びとや空気感については大坂の方が好きかもしれない。まあ実際に住んだら、もっと違うことを思うのかもしれないけれど、いまのところ。
お客さんもリラックスしてオープンだから、こっちも自然体でやれます。東京での僕のライブも見ているお客さんからは、大坂でやる時の方がサービス精神が出てる、とも言われたほどです。

東京では、無条件でオープンに受け入れてもらえる場所は多くありません。なんというか、ジャンルごとの壁がね、あるんですよ。部外者は気軽に受け入れてもらえない。その点大坂はジャンルの壁が薄い。ミュージシャンもお客さんも、いろんな場所を気軽に行き来してるように感じます。特定のジャンルやシーンに出入りして来なかった僕としては、どこにいても部外者に見られていた感覚が、大坂ではない。
演歌をやろうがジャズをやろうが、同じお客さんが同じように楽しんでくれる。それは、東京ではめったに起こらないことです。それが嬉しくて、楽しませたい、という気持ちがこっちもどんどん湧いてくるんですよね。

大坂に度々行くようになって確信するのは、自分はお客さんを楽しませるために、あるいは共演ミュージシャンを楽しませるために演奏してるんだということです。相手が楽しんでくれたら、自分の演奏の出来不出来なんてどうでもいいんですよ、本当に。もちろん真剣にいい演奏をするようにするんだけど、なんなら演奏を聞いてくれてなくってもいい。
西成のおっちゃんがライブ中に乱入してきたら歌わせたりパーカッション渡して叩かせたりして一緒に盛り上げるし、それで自分の演奏は中断されるわけだけど、なんのストレスも感じないどころか僕自身めちゃくちゃ楽しかったですから。
東京でも、そんなライブやりたいなー。どっかいい場所あったらぜひお声がけください。


最近、長い付き合いのミュージシャンが、音楽に飽きてきた、と言うのを聞きました。その人は、自分のバンドが解散してからずっと抜け殻だったと言うんです。さらにコロナ以後どんどん演奏の機会が減って、続ける気力がない、と。好きなミュージシャンからそんな言葉を聞くのは、とても辛い。
僕が大坂から戻っていちばん思うのは、もっと練習したい、ということです。もっと上手くなれば、もっといろんな人と、いろんな場面で演奏できるから。サックスもやりたいし、パーカッションも少しは真面目にやりたい。きっと、新しい人と演奏することで、そういう気持ちが刺激されるんでしょう。
実は僕も、ペーソスについては飽きてきた気持ちもあります。だって、毎回ほとんど同じ内容で何も変化がないから。曲目すら毎回同じですからね。だからこれ以上飽きて辞めたくならないように、ペーソスはライブ回数を減らすようにしています。
どんなことでも、長く続けるには新しい要素が必要なんですよ、きっと。
彼も、新しい場所で演奏する機会がもっと増えれば、また気持ちも上向くんじゃないだろうか。といって、自分にできることはあまりないんだけれど。

それなりに長いこと音楽をやってきたけど、幸いにもまだ飽きません。昔から、飽きたらやめればいいやと思ってはいるけど、まだ楽しめています。
大坂でやるのは、その気持ちを維持するためにもすごく必要なことだとあらためて感じたツアーでした。
また行かないと。行きます!





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