大阪最高!

10日間、関西でライブをしてきました。
ソロのステージ、山村誠一、松原里佳、上村秀右とのデュオ、ニューオリンズ・ジャズ、宮腰理とトシバウロンとのセッション。どれも違う内容で、とても刺激的な旅でした。
2日間だけ京都でしたが、あとはずっと大阪です。大阪最高!
なにが最高って、お客さんの反応がダイレクトなんですよね。こっちの演奏にどんどん反応してくれて、会場が一体になって盛り上がる感じ。ステージと客席の間の「壁」のようなものが、うすいんです。

アメリカ留学から帰ってすごく違和感があったのが、ミュージシャンとお客さんの間に感じるこの「壁」です。東京では、静聴、とまでいかなくても、演奏をじーっと聞いて、きちんと拍手をする。どんなにいいライブだったとしても、よかったよ!って声をかけられることは多くなくて、みんな大人しく帰って行きます。
僕がいたニューオリンズでは、みんなガヤガヤと音楽を聞いていて、演奏中に歓声も飛ぶし、終わるとみんな本当に嬉しそうに声かけてくれて、それとのギャップが大きくて。いまだにニューオリンズのノリが懐かしいです。

ライブはミュージシャンだけじゃなくってお客さんと一緒につくるものだと僕は思ってます。だって、お客さんの反応次第で演奏内容が変わるから。
場の雰囲気や共演者によって自分の演奏が変わるのが楽しくて仕方ないし、いつも予定外のことをやりたい欲望があるんです。
そのために、ライブ中にとつぜん違った演奏をして共演者を驚かせたりもよくやります。そうすると、もちろんミスもする。でも、トラブルやミスにどう対処するかを見せるのが、ライブだと思ってるんですよね。失敗するためにライブやってるような気持ちですらあります。

こういう考えを、お客さんへの甘えとも言う人もいるかもしれません。
でも仕方ない。音楽に限らず、キレイに整えられたものに、僕自身が興味を持てないんだから。つねに驚きがほしいし、ハラハラドキドキしたい。よく言えば、減点法じゃなくって加点法。
ニューオリンズなんて、加点方どころが減点という概念がないくらいでした。そして、大阪も加点法の町で、ニューオリンズにずっと近い感じがするんです。
そのおかげで新しいことを試せるし、他でやれない冒険もできる。そもそも大阪に行かなければ、ソロでライブやることはなかったはずですからね。
反応がダイレクトだから、野次(?)やツッコミも飛んでくる。それも含めて、一緒に作ってる感があって、最高です。毎日、寝る前に、来てくれた人たちの顔や交わした会話を思い出して、心からありがたいなと思いました。なんだかキレイすぎて書いてて恥ずかしいけど、本当です。


そして今回のもう一つの目的は、ニューオリンズ・ラスカルズのライブを見に行くことでした。
ニューオリンズジャズバンドとしては世界最高峰で、なんと結成60年以上梅田にあるNew Suntory Fiveが1970年に開店してからずっと、毎週土曜に同じメンバーで演奏し続けています。
50周年記念ライブ以来なので、10年以上ぶりに聴きました。
メンバーはもう80歳を超えているのに、まったくなあなあにならない。そのサウンドは、ものすごい高みにありました。もうリズムやグルーヴを超えたような、問答無用のバンドサウンドです。
同じ仲間と一生かけてひとつの音楽を追求するなんて、おいそれとできるものじゃない。そして、演奏する場所も、お客さんもいる。なんて幸せなんだろう。いろんな音楽のやり方があるけど、ひとつの理想の形だと思います。
ライブ後に一緒に話していても、やっぱり音楽の話をするんですよね。こうやって60年やってきたのか、と想像すると、それだけでまた感動してしまいます。
残念ながら、僕はいまではニューオリンズジャズを演奏する機会はあまりありません。でも、ニューオリンズは僕のベースにあるといつも思っているし、これからもそこをブラさずにやっていかなくてはならない、と強く思いました。
ラスカルズを見れて、本当によかった。


実りのある10日間でした。
大阪最高!みんなありがとう!!また行きます!!






コメント