残るものがいい
オブ・トロピークのシングル盤レコードが、おととい発売されました。海外ではなんと予約段階で売り切れ!国内には100枚しか流量してなくて、初回入荷分が即日完売したお店もいくつかあります。
びっくりです。国内はともかく、海外でこんなに売れるとは想像もしませんでした。何の情報もない日本のバンドを、音だけ聴いて買ってくれるなんて、みんな素敵すぎるよ!
あらためて手元にあるのをながめて、レコードの良さを実感しています。なんというか「モノ」感がすごい。CDも、あるいはカセットテープも「モノ」に違いないんだけど、それよりもっともっと存在感があります。レコード盤自体がずっしりしてて、しっかり重さがある。盤面に見える溝の中に音楽が実際に刻まれているわけだし、ジャケットも紙製だし。
いままで自分のも含めて色んな作品のCDに参加したけど、告白すると、実はほとんど手元に残していません。それで of Tropique で最初に録音したときも、普通にCDを作ることにまったく興味が持てなくて、本の形で出したんですよね。
でも、レコードは、いいかもしれない。
最近レコードの人気がでて売り上げも伸びてるといいます。その中には、「モノ」の良さに惹かれるという人も、きっと少なくないんじゃないかな。聴くだけじゃなくて、持っていたくなるから。
音楽をストリーミングで聴くのも便利だしすごくいいんだけど、でもなぜか、記憶に残らないんですよね。いいじゃん!と思ったミュージシャンをまた聴こうとしても名前が思い出せなくて悔しい思いをしたことが何度もあります。かなりマイナーな音楽も揃ってて聴く量や範囲も広がったはずなのに、けっきょく忘れてしまうって、それってどうなの?
最近、ひとつバンドを辞めました。なんでかって、ライブのたびに初めてやる曲の譜面を渡されてそれを再現する、まあ分かりやすく言えばスタジオミュージシャン的な内容にどんどんなってきたからです。みんな譜面を間違えずに演奏することを優先してるから、フレーズやリズムを崩してみても、誰ひとり反応してくれない。それは譜面を再生してるだけで、はたして音楽を演奏してるといえるんだろうか。
いくら曲をたくさんやっても自分の中に残らないし、もういわゆる「お仕事」ってやつですよ。僕は演奏を「仕事」って言うのがイヤなんで、そういう状況が結構なストレスで、辞めたんです。
気乗りしないことはやりたくない。仮にそのとき楽しくてもすぐに忘れちゃうんだったら、最初から必要ない。
そんな気持ちが、コロナで強まりました。
僕の音楽には、これまでに聴いてきたものが詰まっています。というか、それしかない。過去の素晴らしい音楽を真似て自分でもやってみてるだけなんです。人によって聴いてきた音楽は違うから、その違いやブレンド具合が「個性」なんであって、いわゆる「オリジナル」なんて存在しない、と思ってます。真似、っていうと語弊があるなら、リスペクト、っていってもいいけど。
そういう考え方が音楽以外のことにもあって、だからもうホント、残らないものを削っていきたいんですよ。
って、このタイミングでレコードを出すことで考えました。
オブトロのレコード、音質もいいしオススメですよ!
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