踏みにじられた善意は悪意にも変わる

先週、髪を切りに行きました。
ひとつあけた席で、40代くらいであろう男性美容師が年配女性をカットしていました。
僕はパーマをかけてて席での待ち時間が多かったので、そちらの会話も聞こえてきます。
子供のことや仕事のことを和やかに話していたのが、そのうち美容師が、日本はどうなってるんですかねー、なんて言い出しました。普段こんなこと言わないんだけどさすがに今の政治はおかしいと思う、って少し感情的にもなりながら。
びっくりしました。
僕のまわりでは政府がクソバカだってことは自明ですが、いわゆる一般の人はけっきょく安倍シンゾウや小池百合子やとにかく「偉い」人が好きで、自分で判断することがイヤなんだと思っていたんです。
まさか町中の日常会話で政府への批判を耳にするなんて。
それ自体は、とても素晴らしいことです。
コロナにプラスの面があるとしたら、多くの人が自分の頭でものを考えだした、っていうことでしょう。
本当にそうだとしたら、日本は根底から変わる。
まあ、個人的にはまったく期待してないですけど、でも、そうなったらいいな。

今日から、3度目の緊急事態宣言に突入しました。
ちょうど一昨日、デパートに行ったんです。
店員さんと話していたら、あさってからどうなるかまだ分からない、って言うんですよ。仕事があるのかないのか。
そんなことって、あっていいの?
小池都知事は、20時以降は街灯以外の町の灯りをすべて消す、なんて言ってる。
「見回り隊」を日給1万円強で雇って、まあオリンピックのスタッフもパソナが一人あたり20万円で請け負って19万円近く中抜きしてるわけだし、どうせどっかの誰かに金を渡すための仕組みなんだとしかもはや僕の荒んだ心では思えません。
ああでもこうやって不満を書き連ねてたら10万字は軽く超えるだろうし自分が落ち込むだけだし、きっとそれは誰かの思う壺だ、とわかってはいても、でもやっぱり何も書かずにはいられない。
なんでみんなこんな状況で、しかも音楽やってれば迫害される側のはずなのに、みんなどうして大人しく黙ってやり過ごすことができるんだろう。


きのう久しぶりにオブ・トロピークでスタジオに入りました。
もはやメンバーで東京にいるのは僕とベースとドラムだけだから、今後はバンドでの活動は難しいだろうと実は思っていて。
でも音を出してみたら、予想もしないサウンドが生まれて、しばらく3人でやってみよう!と盛り上がったんです。
去年はレコーディングもしたし、それからも3人でリモートで曲を作ったりはしていたけれど、一緒にセッションするのはやっぱり別物なんですよね。
そのあと公園でビールを飲みました。
特別なことを話したわけじゃないけど、誰かと一緒にいる時間は代え難いとつくづく思いました。
その公園では、他にもたくさんの人たちが飲んでいました。帰り道も、どの路上にも人が溢れていました。
コロナのことからすれば、ほめられた行為じゃないでしょう。
でも、誰だってこんなの早く終わればいいと思ってるし、そのためにみんなで協力しようという気持ちはあるはずです。
「偉い」人たちが、その僕らの善良な気持ちを足蹴にするんです。
踏みにじられた善意は、悪意に変わることだってある。そして、怒りを抱えていたら幸せになれるわけないし、自分が幸せじゃなかったら人に優しくだってなれない。


少し前に、大塚駅前でミャンマーの女性が数人で署名を集めていました。
夜でした。
署名して少し話したら、みんな家族がミャンマーにいるそうです。軍が民間人を容赦なく殺してるんだから、知り合いが無事でない可能性だって、あるかもしれない。
そんな状況で、外国人への偏見と差別に満ちた異国のまだ肌寒い路上に立って、言葉も流暢ではないのに、みんなが無視して通り過ぎる中で、ずっと立っている。
なんて世の中だ。


こんなこと、書くはずじゃなかった。
でも、こんなことしか書けない。
悔しいよ。



コメント

  1. 気持ちぜんぶわかります。

    俺も今心の中の怒りややるせない気持ちを書き始めたらきっと止まらなくなると思います

    でも人の書いてくれたものを見るとじ〜んとして泣きそうになり結局それですこし救われるんだと思います 嫌なことを決してそれだけで終わらないようにちゃんと書いてくれたおかげだと思います

    俺もやるならそうありたいですよ!! 感謝。

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    1. 共感してもらえてうれしいです。
      人と話したり書いたりするときに、思ってることを隠していたら、自分の心にとっても良くないですよね。気持ちをシェアすることは、救いになると思います。ありがとうございます。

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