分類すると、なくなってしまう

 「新しい生活様式」「ウィズ・コロナ」「ソーシャル・ディスタンス」…この半年で登場したたくさんのキャッチフレーズが、どうにもひとつも好きになれません。

キャッチフレーズで呼ばれたとたん、中身がスポッと消え去ってしまって、流行やファッションのように軽く感じられてきます。
実際、コロナなんてもう誰も気にしてるようにはみえません。みんなマスクはしてても、普通に出歩いてるし店で飲み食いしてるし。
僕も毎日の感染者数なんて見もしなくなりました。そもそも発表される数字が信用できないってことを置いておいても、なんか慣れちゃったんですよね。
これって、時間の経過もあるだろうけど、実際の数字や対策よりキャッチフレーズが優先されてることも影響してると思うんです。

音楽をやらないことにも慣れました。
そりゃたまに演奏したり人と会えば楽しいけど、そうじゃないことに単純に慣れてしまった。
慣れたところにこれを例えば「アフターコロナ」なんていうキャッチフレーズで呼んだりしたら、ずっと好きだった何かが消え去ってしまうような予感がするんです。
キャッチフレーズのノリが広告代理店ぽいから嫌なのかと思って下らない言葉を考えてみようとしたけどやっぱダメでした。分類した瞬間に意味が薄れるのは自然の摂理だし、言葉がキャッチーであるほどに中身の本質さとはかけ離れていくわけだし、とにかく分類すること自体が嫌なんです。
そもそもコロナの影響は人それぞれ違うはず。いままでと違う状況で何を感じて何を考えるかは、それこそ千差万別だろうに、キャッチフレーズでひとくくりにされることに違和感があるんですよね。
僕がずっとジャンル分けの難しいような音楽をやってるのは、そもそも分類を嫌う性質だからなのかもしれません。

そういえば、TIMES誌の「世界で最も影響力のある100人」に大阪なおみと伊藤詩織が選ばれたそうですね。
なんて素晴らしい。
彼女たちを分類する言葉は、ありません。

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