バカが好き

「バカ」っていう言葉、わりと好きなんです。言うのも言われるのも。
でも辞書で調べると、愚か、知能が劣る、つまらない、役に立たない、といったネガティブな説明が並んでます。この言葉に抵抗ある人も意外と多いみたいで、「バカって言うもんじゃないよ!」なんて怒られたこともあります。
うーん、ネガティブなニュアンスで使ってない、というかむしろ褒めてるんだけどなー。
「バカ」って、単細胞とか素直とか言い換えることもできて、それこそ少年漫画の主人公にでもピッタリの素敵な形容詞のはずなんだけれど。
いわゆる「おバカタレント」はいつでも人気だし、勝新太郎とかだってバカと言えるくらいの豪快なエピソードが愛されてるわけだし。

音楽の世界ではもっとわかりやすい。
いかにバカになれるかはロックンロールの重要なテーマだし、ブラックミュージックだとバカな奴の方がいい音出しそう、というか、知能とグルーヴって反比例なイメージがあります。
辞書をよく見ると、いちばん下の方にもうひとつ、「常識に欠けていること」という定義があって、音楽の世界で使われるのはきっとこの意味でしょう。音楽やること自体がすでに常識的な判断ではないわけですから。
「音楽バカ」って言われて怒るミュージシャンは、きっといないはず。

でも、僕が誰かを褒めて「バカ」って言っても、それを聞いて不快に思う人がいるわけです。
その人たちにとって、「バカ」はどこまでもネガティブな言葉でしかないんだろうか。
言われて嫌な思いをしたことでもあるんだろうか。
まわりで日常的に誰かが誰かをバカにしていたり、毎日けなしたりけなされたりしてるんだろうか。

そんな風にいろいろ想像してみると、音楽ってラクだなーとつくづく思います。
優劣や上下がないから、他人をけなしても意味がない。
澄んだ音も濁った音も正解はなくて、むしろ違ってた方が面白い。
だから、みんなそれぞれに価値がある。
もちろんバカにも天才にも、そして僕にも。


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