This is a mean old world to live in all by yourself.

JASRACが音楽教室から曲の使用料を徴収しようとしている件で、職員が一般の主婦と身分を偽って教室に2年間通って調査をしていたそうな。
たとえばウケのいい有名曲を授業で使って生徒が増えたとしても、それで不快に思う作曲者や不利益を被る人が、どれだけいるだろうか。
音楽教室って、音楽の楽しさを教えるための場所で、そこに悪意はないはず。そんな場所で覆面調査なんでしないでほしい。しかもそれを堂々と正しいこととして話す、という態度には、音楽への愛情を感じることが、僕にはできない。
もちろん、JASRACにもいい部分もあるだろうし、感謝してる音楽関係者もいることだろう。でも、その根本的な考え方には、ずっと違和感がぬぐえない。
月に数回ライブを入れるくらいの小さな飲食店や、個人経営のジャズ喫茶に課金して潰したり。
徴収することが仕事だからって、そのために音楽を愛する人を攻撃して活動を制限して、それじゃあ音楽人口は増えないし、けっきょくJASRACだって得しないんじゃないだろうか。


別の話。
ニューオリンズ・ジャズのバンドにゲストで呼ばれて演奏しました。
楽しいライブだったけど、音楽に対する姿勢に違和感を持ってしまいました。
やってる音楽は素晴らしいんだけれども、でも、その音楽性に合わないと、怒る。「お前はダメだ」「もう来なくていい」みたいに。
(ちなみに、僕はそのバンドの音楽性に合ったようで、怒られたりはしてません。)
それが特定のジャンルの音楽への愛からくる態度だということは、わかります。
でも、そうやって仮に理想のサウンドに近づけたとしても、それは楽しいのか。音がよくても、そこに参加してる人たちみんなが楽しめていなければ、それは本末転倒じゃないだろうか。
そう言う当人だって、それだけの情熱を持って音楽に向かっているということは、感動して突き動かされた音楽との出会いがあっったはずで、その感動を多くの人に伝えるという方が、いいんじゃないだろうか。少なくとも、自分と合わない人を攻撃して排斥するよりは。


情熱や理想を持ってはじめたものが、続けるうちに形を変えていくことは、よくあることです。とてももったいない。
周りの声に耳を傾けること、意見を言ってくれる人を増やすことを意識しようと、あらためて思います。
って、なんか綺麗なまとめ方になっちゃったけど、まあたまにはいいか。


心がざわついた時には、サム・クックの『Night Beat』を聴きます。
「ひとりで行きていくにはこの世界は荒涼としているから、誰かを愛したい」
と歌う "Mean Old World" を聴けば、きっとみんな人に優しくなれるはずだと、夢想します。










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