『ロブスター』に震えた


『ロブスター』を観ました。
数年前、公開時に映画館で予告編を見てめっちゃ気になってた映画。
独身でいることが罪で、一定期間に恋人を見つけないと、自分で選んだ動物に姿を変えられてしまう、というルールのある世界の話。
この設定と、主人公が選ぶ動物がロブスター、っていうだけで、きっと面白い。相当な才能と自信がないと、そんな設定で撮れないでしょうからね。

はたして、素晴らしい映画でした。
映像やテンポや音楽や、センスがもう大好き。センスの良さはカウリスマキ並みだなーって思って、見はじめてすぐファン決定でした。
そのまま引き込まれっぱなしで、そして、ラストシーン。まったく打ちのめされました。
ストーリーとかそういうことじゃなく、終わり方、というか、「ラストシーン」に打ちのめされたんですよね。ここで終わるんだ!っていう、もちろん、そこまでに続くシークエンスも含めて。
劇場で見ておけばよかった。

と、具体的なことをぜんぜん書いてないことに気づきます。
だって、全体的にかなりシュールで不条理で、出来事に対する説明もほとんどなくて、「理解」したり「整理」したりできない種類の映画であって、僕には、その魅力を人に説明できる文章力はありません。
評論家みたいな人たちはどう書いてるんだろうとネットで調べてみたら、残念なことにみんな「説明」に腐心するばっかりでした。
現代社会の寓話っていうことにしてみたり、設定やラストシーンの続きを深読みしてみたり、人物の掘り下げが甘いって切り捨ててみたり。
そのどれもが、僕がこの映画に受けた感銘とはかけ離れてる。
ということは、評論家みたいな人の言葉は、僕にとって意味がない。どんなに評価が高くても、僕が感動するのは彼らの見てるのとは別の部分なんだ、ということです。

本当にいっつも思うことだけど、言葉で説明できるなら、芸術は不要。
この映画はたぶん僕にとっては芸術であって、だからもちろん言葉にすることなんでできない。
じゃあなんでブログ書いてるかって?
それはわかりません。
わからないことを始めさせてしまうのが、芸術の力なのかもしれません。
『ロブスター』最高。

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